「生きた状態で撮影したのは世界初ではないか」 伝説の深海魚を発見

画像はイメージ(RYO SATO / Flickr

深海に生息する伝説の魚「ペリカンアンコウ」が、スペイン領カナリア諸島で生きたまま海面近くを泳ぐ姿で発見されました。

【動画】「世界初ではないか」撮影に成功した「ペリカンアンコウ」

ペリカンアンコウの撮影に成功

映像を公開したのは、テネリフェ島を拠点にサメやエイの研究を行うNGO団体『Condrik Tenerife』。

2025年1月26日、同団体が行っていたサメの調査中、島の海岸から約2km沖合で、体長15cmほどのペリカンアンコウ(学名:Melanocetus johnsonii)が海面近くを垂直に泳ぐ姿を捉えました。

通常、ペリカンアンコウは水深200〜2000mの暗く冷たい深海に生息しており、生きている状態で人間に目撃されることは極めてまれ。

これまでは幼魚や死骸として発見されるケースがほとんどでした。

今回の映像を撮影したのは、水中写真家のダヴィド・ハラ・ボグニャ氏。

専門家によると、海面近くで生きたペリカンアンコウが撮影されたのは世界初ではないかと見られています。

今回の発見に対し科学者たちは、「なぜ浅い海域に現れたのかは不明」としつつ、「病気や弱りによる浮上」「深海からの水流の上昇」「捕食者からの逃走」といった可能性を示唆しています。

残念ながら、このペリカンアンコウは発見から数時間後に死亡。

しかし、その貴重な映像記録は今後の深海魚研究において重要な手がかりとなると期待されています。

Text by 浅田 一