1億年前の海に泳いでいた! イギリスで発見された新種サメの化石

画像はイメージ(Juan Carlos Fonseca Mata / Wikipedia Commons

イギリス南部で採取された化石から、これまで知られていなかった新種のサメが発見されました。

【画像】ほぼジンベエザメ”の新種、イギリスで発見される!

国際学術誌『Royal Society Open Science』で発表されています。

イギリスで新種の恐竜の化石発見

研究を行ったのは、オランダ・ナチュラリス生物多様性センターのリチャード・ディアデン博士を中心とするチームで、調査には英自然史博物館も協力しました。

この新種は「Pararhincodon torquis(パラリンクドン・トルクィス)」と命名。

学名には「ほぼジンベエザメ」という意味の属名 パラリンクドン と、古代ケルト人が着けていた首輪「トルク(torc)」に由来する種小名 トルクィス が含まれています。

このサメは、現代の襟付きカーペットシャーク(主にオーストラリアや東南アジアに生息)に近い仲間とされ、体長は1m未満の小型だったと考えられています。

化石が発見されたのは、イングランド南部のサセックス州ニューへブンおよびソールズベリー近郊に広がる白亜紀のチョーク層(石灰岩)。

急速に埋没したことで軟骨の骨格が三次元の状態で保存されていました。

調査チームはCTスキャンで骨格を分析し、化石内に埋もれていた極小の歯を手作業と酸処理によって抽出。

電子顕微鏡で詳しく調べた結果、既知の種とは異なる特徴を持つことがわかりました。

特に背びれの基部が3つに分かれている点は、現生の襟付きカーペットシャーク(基部が2つ)とは異なり、進化の過程を示す重要な手がかりになると見られています。

この種の発見により、現在は熱帯・亜熱帯の海に生息する一部のサメが、かつてはヨーロッパ周辺の浅海にも分布していた可能性が示されたということです。

化石分析官のキーラン・マイルズさんは、歯の採取のために溶けていくチョークを筆で取り除く作業が難航したものの、「大変でしたが、とても楽しかったです」と振り返っています。

Text by 本間才子