30代、40代で減量すると寿命が延びる可能性 研究

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 フィンランドのヘルシンキ大学が主導し、約2万3000人の成人を対象に行った大規模な研究で、中年期に体重を減らし、その状態を長期間維持することが、健康寿命の延伸に寄与する可能性が示された。この研究成果は、米医師会雑誌「JAMA Network Open」に掲載されている。

 研究は、フィンランドとイギリスの30歳から50歳の成人を対象に、12~35年にわたり追跡調査を実施。体重変化とその後の慢性疾患発症および死亡率の関連性を分析した。

 結果として、30~50歳の間に平均6.5%の体重減少を達成し、それを維持した参加者は、体重を維持できなかったり増加したりした参加者に比べて、2型糖尿病や他の慢性疾患の発症リスクが低い傾向が認められた。また、全死因死亡率も低減する可能性が示された。

 さらに、研究は「生涯を通じて体格指数BMIを25未満に保つことが、健康維持にとって理想的である」という見解を支持している。追跡期間中、BMIを正常範囲(18.5~24.9)に維持していた人は、過体重または肥満の人に比べて、慢性疾患の発症リスクが低いことが示された。

 研究チームは、体重減少が持続されなければ健康効果が薄れる可能性があることにも注意を促している。減量が一時的で再び増加すると、慢性疾患リスク低減の効果が相殺される可能性があるため、持続的な体重管理が重要とされる。

 この研究は、主に生活習慣の改善により達成された体重減少に焦点を当てており、外科的治療や薬物療法ではなく、食事改善や運動習慣の確立が健康的な体重維持につながることを示唆している。

 中年期は仕事や家庭などで多忙な時期であるが、この時期に減量と健康的な生活習慣の維持を心がけることが、老後の慢性疾患リスク低減と健康寿命の延伸に寄与する可能性が高い。

Text by 白石千尋