東南アジアの植物多様性に新知見! ブルボフィルム属の新種、形態比較により分類確定

画像はイメージ(Flicker/ Michael Shehan Obeysekera

インドネシア・カリマンタン島の熱帯雨林で、新種のランが発見されました。

【画像】唇弁が特徴の“ロケット型”新種ラン

この件は、学術誌『Phytotaxa』に掲載されています。

インドネシアで見つかった新種のラン

インドネシア共和国の森林省によると、この発見は2024年7月に行われたブキット・バカ・ブキット・ラヤ国立公園の生物多様性調査遠征による成果であり、新種は「ブルボフィルム・ブキトラヤエンセ」と命名されました。

このランは標高およそ1,320mのブキット・ラヤ山で見つかりました。

分類上は、世界中の熱帯地域に多くの種類が分布する「ブルボフィルム属(Bulbophyllum)」に属します。

この属には約2,000種があり、そのうちおよそ300種がカリマンタン島で確認されています。

ちなみに、日本にも「ムギラン(Bulbophyllum inconspicuum)」という小さなランの仲間が自生しており、一部の愛好家に親しまれています。

今回発見された新種は、「ブルボフィルム・スカブルム(Bulbophyllum scabrum)」や「ブルボフィルム・オバリフォリウム(Bulbophyllum ovalifolium)」という近い種類と見た目が似ていますが、花の細かなつくりや形に違いがあり、それによって新種として認められました。

このランの最大の特徴は、その花びらの一部である「唇弁(しんべん)」の形です。唇弁は細長く、上の表面にはざらざらした部分があり、最も幅の広い部分が中央よりもやや手前にあります。

また、唇弁の形はロケットのような独特なかたちをしており、下側のふちに波のようなゆらぎがあるのも特徴です。

さらに、花の根元部分にあたる「子房(しぼう)」には、表面に小さなつぶつぶ状の突起がびっしりと生えており、他の似たランとはっきりと見分けられるポイントとなっています。

インドネシア森林省の広報・国際協力局長であるクリスディアント氏は、「今回の発見は、カリマンタンの森が今もなお多くの未知の生き物たちを育んでいることを示しています。今後の調査によって、さらに新しい生き物が見つかる可能性は十分にあります」とコメントしました。

この発見を受けてネット上では、「凄くインドネシアっぽいよね」「新種の発見だ。神に感謝」「新種の命名が発見者の名前じゃないってのもなんかいい」といった反応が見られました。

Text by 本間才子