7000年前の石畳道が海の底に… “孤立した文化”の常識を覆す発見

画像はイメージ(Flicker/ Alex Healing

アドリア海の海底から、約7,000年前に造られたとみられる古代の道が発見されました。

【動画】現代の道路より丈夫? 海底で見つかった“石の道”

この発見が、初期の人類の定住や交流に関するこれまでの認識を覆す可能性があると注目されています。

海底で見つかった古代の道

この道の存在については、クロアチアの国立大学Sveučilište u Zadru(ザダル大学)の公式YouTubeチャンネルでも紹介されています。

発見されたのは、クロアチア南部・コルチュラ島沖の水深約4〜5mに沈む新石器時代の集落「ソリネ」の一部で、紀元前4900年ごろのフヴァル文化に属するとみられています。

道は石板を丁寧に積み上げて造られており、幅は約4m。

海底の泥に長く覆われていたことで、外的な損傷を免れ、現在まで良好な状態が保たれてきたと考えられます。

発見のきっかけは、ザダル大学の考古学者マテ・パリツァ氏が、コルチュラ島周辺の衛星画像を分析中に海底の不自然な構造に気づいたことでした。

2021年にロイター通信へ語ったところによれば、パリツァ氏は同僚とともに調査に臨み、道や石の壁の痕跡を現地で確認。

これらの遺構が、人工的に造成された陸地の上に築かれていた可能性が浮上しました。

この道は、かつてソリネ集落とコルチュラ島を結ぶ通路として使われていたとされ、交通だけでなく、さまざまな交流の舞台となっていたとみられます。

加えて、島の反対側でも類似の水中遺跡が見つかっており、石斧や火打ち石の刃、宗教的儀式に使われたとされる道具が出土。

これらの集落が、すでに道路を通じてつながっていた可能性が指摘されています。

これまで、フヴァル文化は島々に孤立して存在していたと考えられてきました。しかし今回の発見は、当時の人々が海を越えて交流し、ネットワークを築いていたことを物語っています。

この発見に対しては、「いつか未来の誰かが、私たちの道路をこうして発掘するのだろうか?」といった声や、「今の道路よりも長持ちしている」「歴史書には載っていない発見だ」と驚きを交えたコメントが寄せられています。

Text by 本間才子