外国人が日本で最も困ることとは? 「街にほんとない!」 旅行者調査
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観光客など、海外からの訪問者を見かける機会が増えている。日本に慣れていない彼らは、異国情緒を楽しむ一方、あることに困っているという。観光庁の最新の調査で、ちょっとした悩みが明らかになった。
◆ごみ箱不足が困りごとの上位に
観光庁が昨年12月から今年1月にかけて主要5空港で行った調査では、日本滞在中に困ったこととして「ごみ箱の少なさ」を挙げた人々が21.9%でトップになった。続いて「施設等のスタッフとのコミュニケーション(英語が通じない等)」が15.2%、「観光地や地域の混雑」13.1%となっている。
ごみ箱不足は、特に観光地で顕著だ。困った場所として「観光スポット」を挙げた割合は都市部で58%、地方部で44%と最多で、その際「ごみを持ち帰った」と答えた人が都市部・地方部とも7割を超えた。
ごみ箱の少なさについて、今回の調査結果を報じた英インデペンデント紙は、日本の公共の場に設置されたごみ箱は1995年の地下鉄サリン事件や2004年のマドリード列車爆破事件などテロの懸念を受けて設置数が減少した、と伝えている。
◆満足度向上の一方、入国手続きに新たな課題
もっとも、訪日外国人の満足度全体を見ると、滞在の快適さは着実に上昇しているようだ。観光庁の調査では「困ったことはなかった」と答えた割合が51.1%を占め、前回から21.4ポイント増加した。これはコロナ禍前と比べても約14.5ポイント高く、受け入れ環境の整備が進んだことによるとみられる。
訪日旅行のニーズは高まるばかりだ。2024年の訪日外国人数は過去最高の3686万人に達し、円安で日本旅行の魅力が高まっている。
一方で訪問者数の増加により、新たな課題も生じている。「入国手続き」への不満は8.6%となり、前回から約5ポイント増加した。特に新千歳、関西、福岡の各空港で不便を感じた人が多く、67%が「待ち時間や手続きの時間が長い」と回答している。
◆ごみの山にそっと置く……あふれかえるごみ箱への戸惑い
海外のネット掲示板のレディットでは、ごみ箱の少なさに最も不満が集まっているとの調査結果を受け、意見が交わされている。
「自動販売機の横にあるペットボトルや缶のごみ箱が、最近どんどん少なくなっている」
「イベントや特定の場所ではごみ箱があるけれど、あふれかえっていて、ごみの山の上にそっと置かざるを得ないよ」
「それはそうだけれど、だんだん少なさに慣れてくる。増やしてもいいが、夏になると臭いがするから、頻繁に回収できる場合のみにしてほしい」
「ごみ箱が減ったのはサリン事件のせいだ」
「もう事件から30年が経っている。まだごみ箱を戻さない理由は、コスト削減のようにも思える」
「コンビニに捨てればよいという人もいるが、買っていない物を捨てるのはマナー違反だ」
「ごみは持ち歩けばいいし、そんなに難しいことじゃない。自分のごみは自分で処理すべきだ」
欧米の都市部と比べると、日本はごみ箱が少ないのに路上にごみが落ちていないのが不思議だ、との意見がよく聞かれる。ポイ捨てが少ないので対策としてごみ箱を増やさなくてよい、という側面もありそうだ。




