世界の小売業ランキング発表 アマゾンが初のトップ10入り

 経営コンサルティング会社のデロイト トーマツ コンサルティングは、今年で調査開始20回目を迎えるGlobal Powers of Retailingの最新版レポート「世界の小売業ランキング2017(日本語訳)」を発表した。本レポートは、全世界の小売企業から2015年度の売上高上位250社をランキングにまとめ、地域、セクター、チャネルごとに分析しているほか、小売業における最新のトピックスをまとめている。

 今回の調査結果として、上位250社の総小売売上高合計は4兆3100億米ドル、平均小売売上高は172億ドル、2010-2015年度における小売売上高の年平均成長率は5.0%だった。250社のランキングのうちトップ3は昨年と変わらず、Wal-Mart Stores、Costco Wholesale、The Krogerの米国企業が占めている。また、Amazon.comが調査開始以来、初のトップ10入りを果たし、オンラインリテーラーとして初めてトップ10入りした。

 日本企業でトップ250入りした企業数は30社で、前年の28社から微増した。トップ100入りした日本企業はイオン(14位)、セブン&アイ・ホールディングス(20位)、ファーストリテイリング(67位)、ヤマダ電気(70位)、三越伊勢丹ホールディングス(90位)の5社であった。

 また本レポートでは「新しい消費スタイルに対する理論と実践のアプローチ」として、2017年の小売業のトレンド5つを指摘している。

1. 嗜好の変化:質の良いモノを少しだけ
手当り次第の消費から意志を持った消費への、消費者の嗜好の変化が生じ、消費者は多くのモノを所有するよりも、どれだけ厳選されたモノを所有し体験しているかによって自身の価値が決まると考えている。この2年間、購買体験を重視した消費は、大量生産品の消費の3倍のペースで成長している。

2. 嗜好の変化:「フォロー」による経済
世界中の消費者が、著名人やブランドをソーシャルメディアで「フォロー」すると共に、自身の「フォロワー」を増やすことにも余念がない。消費者は、ソーシャルメディア上でアピールできる、パーソナルブランドを反映するような体験や商品を求めている。

3. 業態の変化:世界における「リテライゼーション」
メイカームーブメントやシェアリングエコノミーなどの台頭に伴い、小売企業とその事業内容を定義することがますます困難になっている。新興国経済では新たな小売モデルが生まれ、先進国でもかつてないほどに業界の境目が曖昧になっている。

4. 業態の変化:オンデマンド・ショッピングとフルフィルメント
現代の消費者と小売企業の関係性は、消費者のオンデマンド志向への対応力によって決定する。オンデマンド・ショッピングにおけるフルフィルメントの影響は、衣料品・ハードライン(家電・日用品など)を提供する小売企業から始まり、食料品、自動車、サービスを扱う小売企業にまで拡大しつつある。

5. 期待の変化:エクスポネンシャルな生活
人工知能(AI:Artificial Intelligence)、ロボティクス、センサー、仮想現実(VR:Virtual Reality)などエクスポネンシャル・テクノロジーは、生活やショッピングのあり方を変えつつある。最も革新的な小売企業は、すでにこうしたテクノロジーを利用して消費者との交流を深め、事業モデルを変えている。

photo via Wikipedia Commons/Jim

Text by 酒田 宗一