ペルーで発掘された5,000年前の女性、髪も皮膚も保存… ペルー古代集落で発見 

画像はイメージ(Flicker/ Jocelyn Saurini

ペルー文化省の声明文によると、リマ近郊のバランカ県にあるカラル文明(紀元前3000〜1800年)の古代漁村集落で、約5,000年前に遡る女性の遺体が驚くべき保存状態で発掘されました。

【画像】4,500年前の顔、保存状態良好で出土 ペルー・カラル文明が残した“女性の物語”

良好な状態で発見されたミイラ

発掘された場所は、集落の中心の隆起した塚の上に建つ3つの建物のうちの1つ、「Huaca de los Ídolos(フアカ・デ・ロス・イドロス)」として知られる建物の中だったそうです。

女性は膝を胸に引き寄せた屈葬の姿勢で発見され、その遺体は竹の織物で丁寧に包まれていました。

また、女性の頭頂部には、髪や皮膚とともに保存されていた糸を束ねた繊維の頭飾りが置かれ、遺体の周りにも遺品とみられるものが複数埋葬されていたそうです。

これは「パイハン様式」という埋葬方法で、当時の沿岸地域の上流階級層に特有のものだったようです。

4,500年前の顔の輪郭なども残っていたことから、女性が亡くなったのは20歳から35歳と推定されています。

さらに声明文には、埋葬の底には、4つの葦かごに30個のサツマイモ、象眼針を含む機織りの道具、アマゾンカタツムリの殻や緑と茶色のビーズを象眼したオオハシのくちばしなど、アマゾン流域の生き物の遺骨が詰められていたことも明かされています。

これらの品々はアマゾン原産のと高地産のものがあり、カラル・スーペ文明の人々が他の地域と広い交流ネットワークを築いていたことがうかがえます。

発掘調査を指揮したミゲル・アギラル氏は、これらの発見はペルーの先土器時代末期の文化に光を当てるものだと供述しています。

特に、この埋葬が男性と女性の両方を含む集団墓地の一部だったことも判明し、当時の社会構造に関する貴重な情報になるそう。

考古学者たちは今後の分析を通じて、この女性の生活や死因、そして女性が属していた社会についてさらに多くのことを明らかにしていくことを期待しています。

Text by 都築ミロ