男女の所得格差解消はいつ? アクセンチュアが調査レポートを発表

 総合コンサルティング企業のアクセンチュアによると、2020年に先進国で大学を卒業する女性は、社会人として男女間所得格差の解消を経験する初めての世代となる可能性があることが明らかになった。

 日本を含む29カ国で行なわれた調査レポート「Getting to Equal 2017(男女のキャリア平等に向けたレポート2017)」によると、男女間の所得格差が解消されるのは、今後特別な施策を打たない場合は先進国で2080年、発展途上国では2168年、そして日本では2121年になると予測されています。日本は先進国の中では男女間の所得格差の解消には時間がかかる見込みだ。

 また、現状分析として女性が現在100ドル稼ぐごとに、男性はグローバル平均で140ドルを稼いでいることが分かった。加えて、女性は賃金が発生する労働をする割合が男性よりも低いことから(男性76%、女性50%)「隠れた所得格差」につながっていることも指摘されている。この「隠れた所得格差」を考慮して算出し直すと、女性が100ドル稼ぐごとに、男性は平均で258ドルを稼いでいる結果となり、男女間における経済的な不均衡は一層深刻であることが分かる。

 レポートの中で、所得格差解消を加速する3つのキャリア構築の加速要素が指摘されている。

デジタル活用力:デジタル技術を活用して、社会や人とつながり、学び、働く力
キャリア戦略:高い目標を設定し、十分な情報に基づいて選択し、積極的にキャリアを築く力
テクノロジーの習得機会:優れたテクノロジーやデジタルスキルを習得する機会

 女性がこれら3つのキャリア構築を加速する要素を活用しつつ、産学官がこれらの実現を支援することで、先進国では36年前倒した2044年までに、また発展途上国では100年以上早い、2066年までに所得格差を解消することができるという。日本では59年早い、2062年までに男女の所得格差を解消することができると算出された。

 アクセンチュアの会長兼CEOピエール・ナンテルムは、本レポートの公表に合わせて、「多様性を尊重する職場において男女の平等は必要不可欠であり、所得にも影響を与えます。所得格差の解消にあたっては、企業、政府そして大学が重要な役割を担っています。産学官が連携して、女性に適切な機会や環境を提供、ロールモデルを見える化することで、変革を推進していくことが肝要です。」と述べている。

photo CC0 Public Domain

Text by 酒田 宗一