“目が3つ”の古代生物に「モスラ」と命名 5億年前の姿

画像はイメージ(Flicker/ Orangeaurochs

指ほどの小さな新種の生き物に、日本の怪獣映画のキャラクター「モスラ」が命名され、注目を集めています。

【画像】「指サイズのモスラ」インパクト大な古代生物

この発見は、国際学術誌『Royal Society Open Science』に掲載されました。

頭部には光を感じ取る中眼

学術名「モスラ・フェントニ」は、節足動物の祖先にあたるラディオドント類というグループに属する小型の生き物です。

怪獣と戦う海の蛾「モスラ」を彷彿とさせることからこの名前が付きました。

体長は指ほどで、同じ仲間で体長50㎝に達するアノマロカリスのような大型種とは異なり、エビのような小さな獲物を狙っていたと考えられています。

化石には、獲物をつかむための鉤爪状の付属肢のほか、体の左右にパドル状のヒレが確認されており、これらを使って海中を滑るように泳いでいました。

さらに頭部には、通常の複眼に加えて「中眼(ちゅうがん)」と呼ばれる小さな目があり、光の変化を感じ取っていたとみられています。

いわば“目が3つある”ような構造で、現生のトンボが方向を判断する際に使う感覚器に近い働きをしていた可能性があります。

ほかにも注目すべきは、化石に見られた暗く反射する斑点状の「舌状突起(ぜつじょうとっき)」です。

以前は神経の名残とされていましたが、体液が流れる血洞、つまり循環系の一部と研究チームは指摘し、節足動物の循環系が古くから存在していた証拠とみています。

また、ヒレが少ない一方で、エラが密集した特殊な体節を後方に持っていたことも明らかとなり、低酸素環境への適応や活発な泳ぎに関係していたとされています。

このような体の構造は、現生のカブトガニに見られる「後体部」に似ていますが、両者が特に近縁であるわけではありません。

研究チームは、似た環境に適応する中で、異なる生き物がよく似た形に進化する「収斂進化(しゅうれんしんか)」の一例ではないかとしています。

この発見にネット上では、「5億年前の生き物なのに、すでに今のドローンより空力性能が優れているってことだよね」「非常に興味深い」といった声が寄せられていました。

Text by 本間才子