絶滅とされた幻の魚がヒマラヤで生きていた! 専門家も驚いた再発見

画像はイメージ(Flicker/ Thomas Quine

インド北部ヒマラヤ地域に位置するチェル川で、極めて珍しい淡水魚「チェル・スネークヘッド(学名:Channa amphibeus)」が再び確認され、研究者たちの関心を集めています。

【画像】インドの川で“絶滅種”が復活 85年ぶりの発見に世界が注目

この魚種の確認は、1930年代以降約85年ぶりとされます。

85年ぶりに見つかった魚

チェル・スネークヘッドは、細長い体とヘビに似た頭部を持つライギョの一種で、インドのヒマラヤ山麓地域に固有の淡水魚です。

1918年から1933年の間に複数の標本が採集されたのを最後に公式な記録がなく、長らく絶滅した可能性があると考えられていました。

しかし、2024年に発表された生物学誌『Zootaxa』の論文によると、西ベンガル州カリンポン近郊のチェル川流域で新たに採集された3つの標本と写真記録によって、この種の生存が確認されました。

地元の住民にとっては特別な存在ではなく、食用として利用されていた形跡もあり、科学界との認識に差があったことが示唆されています。

再発見に関わった野生生物探検家フォレスト・ガランテ氏は、自身のSNSで次のように述べています。

「数十年にわたって探し続けられてきたチェル・スネークヘッド。何カ月にも及ぶインドでの調査の末、その存在をようやく確認することができた」

チェル・スネークヘッドは鮮やかな緑色の鱗と黄色の縞模様を持ち、スネークヘッド類の中でも比較的大型の種とされています。

今回の再発見は、インドにおける淡水魚類の多様性再評価のきっかけとなる可能性があり、今後の調査と保全活動に弾みをつけると期待されています。

Text by 浅田 一