テロ・Brexit・米大統領選の激動を経て、ミレニアル世代の楽観主義に変化
プロフェッショナルファームのデロイトが、世界30カ国、約8,000人のミレニアル世代を対象として行った「The Deloitte Millennial Survey 2017」を発表した。ミレニアル世代とは、1980年代半ばから2000年代初めに生まれた、デジタル機器やインターネットに慣れ親しんだデジタル・ネイティブ世代だ。
デロイトによると、ヨーロッパでのテロ、英国のEU離脱(Brexit)、米国の大統領選など、多くの衝撃的な出来事に見舞われた激動の2016年を経て、ミレニアル世代の楽観主義に変化が生じていると分析している。
新興市場のミレニアル世代の多くは「自分は両親よりも経済的に豊かになる」(71%)と考え、「精神面でも幸せになる」(62%)と回答し、楽観主義が継続している。一方で、先進国など成熟市場では「自分は両親よりも経済的に豊かになる」と回答したのは36%、「両親より幸福になる」と回答したのは31%と過半数を割っており、楽観的な見方はマイノリティだった。なお、成熟市場で「両親よりも豊かで幸福になる」と過半数が回答したのは米国のみだった。
デロイト グローバルCEOのプニート・レンジンは「このような悲観論は、ミレニアル世代が考える懸念要素が変化していることの反映と言える」と解説し、「4年前は、気候変動や資源不足が彼らの最大の懸念事項だった。2016年は、犯罪、汚職、戦争、政治的緊張がミレニアル世代の心理に影響を及ぼしており、そうした不安が個人的な将来見通しや職業的な見解にも影を落としている」と述べている。
米国の大統領選という激動の中心にあった米国のミレニアル世代が、先進国の中で最も楽観的なビジョンを維持しているという点に、米国という国のポジティブ・パワーの力強さを感じさせる結果となった。また、次世代を担うミレニアル世代の価値観を変容させるほどの激動が、2017年にどのような形で実際的な経済、政治、社会へ影響を及ぼしていくのか注目していきたい。
調査手法についての注意点:募集段階のスクリーニングにおける質問により、ミレニアル世代(1982年以降生まれ)で、単科大学または総合大学の学位を取得しており、フルタイムで、主として民間の大企業で働いてきたという条件を満たした回答者のみを選択している。
Photo via Wikipedia Commons | Eva Rinaldi