ネット上に写真ゼロだった希少動物「トガリネズミ」 107年ぶりに撮影に成功

画像はイメージ(Flicker/ Daniel R. Blume

アメリカ・カリフォルニア州の大学生たちが、これまで誰も生きた姿を捉えたことがなかった希少哺乳類「マウント・ライエル・トガリネズミ」の撮影に初めて成功しました。

【動画】「ネット上に生きた個体の写真がなかった」ネズミの撮影に成功

希少なネズミの撮影に成功

この成果は、調査に協力したカリフォルニア科学アカデミー「calacademy」が、SNSなどを通じて公開しています。

「マウント・ライエル・トガリネズミ」の撮影に成功したのは、UCバークレー卒業生のヴィシャール・スブラマニヤンさん、同大学在学のプラクリット・ジャインさん、そしてアリゾナ大学のハーパー・フォーブスさんの3人です。

発見の舞台となったのは、カリフォルニア州東部のシエラネバダ山脈。

1917年の発見以降、2024年10月まで、生きた姿が撮られたことのない唯一のカリフォルニア産哺乳類でした。

「インターネットを探しても、生きた個体の写真がないことに驚いた」という調査メンバーたち。

UCバークレーの脊椎動物博物館の支援を受けて本格的な調査に乗り出します。

湿地や小川周辺に落とし穴式の罠を設置し、3日間寝る間も惜しんで観察を続けました。

その結果、5匹のトガリネズミを撮影・観察し、マウント・ライエル・トガリネズミを含むミリアム、バグラント、モンタン種の4種に分類されることが分かりました。

トガリネズミは外見だけでの識別が難しいため、採取したサンプルはカリフォルニア科学アカデミーで遺伝子解析を行い、種を特定したとのことです。

このトガリネズミ科に属する個体は、体長10センチに満たない小型で、ネズミというよりはモグラに近い外見をしています。

代謝が非常に活発で、数時間ごとに餌を摂らなければ生きていけません。

寒冷地でも一年中活動しており、昆虫やクモなどを、鋭い嗅覚と触覚を頼りに探し出して暮らしているといいます。

今回の調査で3人は、「ただの分布記録だけでは足りない。この種がどんなふうに生きているのか、今こそ知る必要があると感じた」と語っています。

この新たな発見にはSNS上でも反響があり、「最高!自然の多様性は素晴らしい」「かわいい動物の映像をありがとう」「これはまさに最高の生態学研究だね!」といった、感謝や称賛のコメントが相次いで寄せられました。

Text by 本間才子