日本のカワニナに新たな仲間! 遺伝子解析で3種の新種が判明

画像はイメージ(Phonon.b/ Wikipedia Commons

京都大学などの研究グループが、兵庫・静岡・岡山など本州各地でクロダカワニナ(Semisulcospira kurodai)の遺伝子解析と形態解析を行った結果、新種のカワニナを3種発見したことを明らかにしました。

【画像】「日本にはまだまだ未知の生き物がいる」日本で発見された新種のカワニナ

発見された3つの新種とは?

琵琶湖固有種に近縁でありながら、静岡県から岡山県までの広い範囲に分布しているクロダカワニナ。

先行研究で種内に遺伝的に異なる4つの系統が発見されていましたがの、それらが独立種であるのかは十分に評価されていませんでした。

今回研究チームは、カワニナ属の貝類について遺伝子情報と形態的特徴を詳しく解析。

その結果、以下の3種が独立した新種であると結論づけられました。

タジマカワニナ(Semisulcospira tajimaensis):兵庫県・鳥取県に分布。細長く光沢のある殻が特徴。

サキガケカワニナ(S. sakigake):静岡県・愛知県に生息。殻の螺旋が緩やか。

ユメカワニナ(S. yumensis):岡山県定分布。非常に小型で、殻に微細な筋模様が見られる。

これらの新種は、成貝殻の角度や彫刻の形態、胎児殻や歯舌の形態で互いに識別され、いずれの種もメスがオスよりも大きい成貝殻を持つことが特徴です。

琵琶湖を取り囲むような形であった本種の分布域。

実際には、中国地方に生息していた祖先が東方へ分布を広げたことで形成された可能性が高いことを示す発見となったのです。

今回の発見について京都大学は「カワニナ属の種多様性が再評価されるとともに、琵琶湖に起源を持つカワニナ属が抱える複雑な多様化の歴史の一端が明らかにされました」とコメントしました。

SNSでも、「見た目が一緒でも全然違うってロマン」「日本にもまだまだ未知の生き物がいるんだ」と驚きと感動の声が続出。

自然の奥深さに改めて気づかされたとのコメントも目立っています。

Text by 浅田 一