「図鑑にも載っていなかった」 和歌山で見つかった新種のクラゲ
和歌山県・田辺湾で、13歳の少年が未知のクラゲを発見しました。
【画像】「成長とともに不思議な形へと変化した」和歌山で発見された新種のクラゲ
この発見は、日本プランクトン学会の学術誌「Plankton & Benthos Research」に掲載されています。
桟橋で見慣れないクラゲを発見
新種のクラゲは、和歌山県の田辺湾で杉本凌哉さん(当時13歳)が見つけたものです。
クラゲに刺された経験から海洋生物に興味を持ち始めたという杉本さんはある日、桟橋から海を覗くと、図鑑にも載っていない見慣れないクラゲを目にしました。
自宅に持ち帰って育ててみると、成長とともに不思議な形へと変化。
クラゲには柄のように伸びた構造の先に、フリルのような唇をもつ口器があり、触手の数も4本から6本と不規則だったのです。
既存のどの種とも異なる特徴が見られたため、その正体を突き止めようと、アメリカのクラゲ研究者アレン・コリンズ博士に連絡しました。
そしてこのたび、アメリカ・スミソニアン博物館内にあるNOAA国立分類学研究所で遺伝子解析などが行われ、新種であることが確認されました。
このクラゲは杉本さんが、特徴的な生殖腺が数学の「積分記号(∫)」に似ていることから「インテグラルクラゲ(Orchistoma integrale)」と命名。
北西太平洋でこのグループのクラゲが見つかったのは初めてのことだといい、杉本さんは東京大学に在学中で、現在も海洋生物の研究を続けています。
今回の発見では、クラゲのライフサイクルのひとつである「ポリプ期」の飼育にも成功し、この属としては初めての報告となりました。
研究に携わったコリンズ博士は、「若くて情熱的な彼と取り組めたことが、この研究で最も素晴らしい経験だった」と述べています。




