「追跡や観察は難しい」 120年間ぶりに目撃された種のコオロギ 

画像はイメージ(Flicker/ Vegansoldier

ブラジルの科学者たちは、記録から120年ぶりにMyrmecophilus americanus(ミルメコフィルス・アメリカヌス)と呼ばれる特殊なコオロギを再発見したことをZootaxaで報告しました。

【画像】「家で偶然見かけた」120年ぶりの目撃例があったコオロギ

ブラジルで120年ぶりに発見されたアリヅカコオロギ

Discover Wildlifeによると、アリヅカコオロギというコオロギはアリの巣に共生・寄生して暮らす個体。

アリヅカコオロギは1904年と1905年にブラジルのパラー州で初めて記録されて以降、目撃されていませんでした。

世界中には約200種のアリ型コオロギが分布していますが、アリのコロニーの中に潜んでいるため、その習性は不明瞭で追跡や観察が難しいとされています。

この度最初の発見から120年後、ブラジルの研究者たち2名がパライバ州で自分たちの家の周りを飛び回っているアリヅカコオロギを目撃しました。

アリヅカコオロギの体長は2~4mmと小さく、アメイロアリ(Paratrechina longicornis)と呼ばれる最も一般的なアリと共生しているそうです。

研究によると、アリヅカコオロギは1877年にコロンビアで初めて同定されましたが、おそらく元の環境からアリを宿主として移動してきたとみられています。

アリヅカコオロギは、生きているアリや死んだアリからクチクラ炭化水素を削り取り、自分の体に塗ることで発見を逃れ、アリに巣仲間と勘違いさせると考えられているそう。

また、後脚を使って毛繕い行動を模倣してアリから摂食行動を引き出し、アリに餌を吐き出させることもしています。

しかし、嗅覚によるカモフラージュが失敗すると、アリに手足を引きちぎられることもあるのです。

Text by 都築ミロ