中国がフランスで「南京大虐殺」展開催 ユネスコ世界遺産登録後、欧州で初
昨年10月、「南京大虐殺」関連文書がユネスコ(国連教育科学文化機関)世界記憶遺産として正式登録された。これに日本は反発し、ユネスコ加盟国に義務づけられる分担金・拠出金の支払いを一時保留していたが、11月に入ってから拠出金についてのみ近く支払うことを正式に発表した。
岸田文雄外相は先月行われた参院外交防衛委員会のなかで、「南京大虐殺」関連文書の世界遺産登録がいかなる資料に基づいて行われたのかなど審査に不透明な部分が多いため、中国やユネスコに再調査を申し入れた。対して中国側は、日本政府による分担金支払い保留の決定を「歴史に向き合っていない」として厳しく批判している。
日中関係が緊迫するなか、先月10月下旬からフランス北西部カーン市で南京大虐殺展(12月15日まで)が開催されている。中国メディアなどの報道によると、今回の展示会は、同事件が2015年10月にユネスコ世界記憶遺産に登録されてからは、“欧州で初めて”の開催という。
◆「ヨーロッパの人々にももっと知ってほしい」
『共通の目撃者:南京大虐殺』と題された今回の展示会は、フランスのカン平和記念館と中国の南京大虐殺紀念館が共同で主催した。オープニングセレモニーに先がけた記者会見のなかで、両施設の代表は「南京大虐殺と抗日戦争について、ヨーロッパの人々により深く知ってもらえるよう、共に力を合わせて取り組んでいきたい」(中国新聞網)と意気込みを語っている。
中国国営メディア『中国網』『新華社』『中国新聞網』など複数メディアの報道によると、同展示会の会場規模は約800平方メートル。事件当時現場に居合わせた欧米の外交官、大学教授、医師、報道記者などが残した手紙や日記、写真、書類、映像など270点以上が展示されている。
この展示会について報じたイギリスのネットメディア『The BRICS Post』は、、旧日本軍による大勢の中国人に対する虐殺・強姦が国際的に“レイプ・オブ・南京”という通称で呼ばれており、同事件により殺害された民間人の数は30万人以上であるという説明をしている。
南京事件は、第二次世界大戦直前の1937年から1938年にかけて、日本軍が南京を占領した際に非武装民間人を含む多数の中国人を殺害したとされる事件。しかし、同事件については日中で主張に食い違いがあり、両国間の外交上では大きな争点となっている。