「歯のような突起」を持つ新種のタランチュラ 毒成分が治療を進歩させる可能性
画像はイメージ(Flicker/ Tracey Adams)
フィリピン中部のロンブロン島で、口にギザギザした突起を持つ新種のタランチュラが発見されました。
【画像】「治療に期待できる」独特の毒成分を持つ新種のタランチュラ
この研究成果は、学術誌「ZooKeys」に掲載されています。
学名は研究機関の頭文字を取った造語
新種のタランチュラは「セレノブラキス・ウストロムスパシウス(Selenobrachys ustromsupasius)」と名付けられました。
種小名の「ustromsupasius」は、研究に携わった5つの教育機関および学会の名称からつくられた造語。
サント・トマス大学(UST)、ロンブロン州立大学(ROM)、ミンダナオ州立大学イリガン工科校(MSU)、フィリピン大学ディリマン校(UP)、フィリピン蜘蛛類学会(PAS)の頭文字をつなぎ合わせたものです。
新種のタランチュラは、メスの生殖器の形や、オスの脚の先端にある交尾器の形が、これまでの種とは異なっていました。
さらに、足の毛の生え方や向きにも違いが確認されたため、研究チームはこのクモを別の仲間に分類すべきだと判断しました。
中でも特に注目されたのが、口の近くにある「食べ物をすりつぶすためのギザギザした突起(歯のような器官)」の形です。
この部分の構造が従来の種とは明らかに異なっており、このクモを別の属として分類する決め手となりました。
この研究では、毒の成分から医療応用の可能性を探る国家プロジェクト「GAGAMBA(ガガンバ=クモ、Gamot mula sa Gagamba)」の一環として行われており、今後も治療への応用が期待されています。
研究者たちは、「地形的に分かれた島々に生息する動物を調べることで、フィリピンという国の自然環境や進化の歴史をより深く理解できる」と述べ、今後の研究の重要性を強調しています。
この発見に対してネット上では、「新しい発見は、進歩というクモの巣の一本の糸!治療への応用が楽しみです!」といった声のほか、
「私の大学の先生です」「おめでとうございます!」など、研究に関わった教員を知る学生たちからの祝福のコメントも数多く寄せられていました。




