「ロシア寄りすぎ」トランプ外交への米国民の“不安”浮き彫り 最新世論調査
G20大阪サミット2019にて|Susan Walsh / AP Photo
アメリカの調査機関が8日に発表した調査結果によると、アメリカ国民はドナルド・トランプ大統領の外交政策に対し批判的な見方や複雑な感情を抱いていることが判明した。特にロシアとの関係については、多くの国民がトランプ氏の姿勢を「ロシア寄りすぎる」と考えていることが明らかになった。
◆主要政策に否定的評価、党派でも大きく分かれる
トランプ氏は大統領就任直後から、世界保健機関(WHO)からの脱退、「パリ協定」からの離脱、国際開発局(USAID)プログラムの廃止など、各種の支出削減策に乗り出した。だが、ピュー・リサーチ・センターの調査結果によると、これらの政策に対し、アメリカ国内でも批判的な声が多数を占めている。WHOからの脱退には回答者の52%が反対(賛成32%)、パリ協定離脱には46%が反対(同32%)、USAID廃止にも45%が反対(同35%)した。
評価は支持政党によって明確に分かれている。共和党支持層では、WHO脱退に58%が賛成し、パリ協定離脱には60%が支持を表明、USAIDプログラム廃止には64%が前向きな反応を示している。一方、民主党支持層では、こうした政策に賛同するのはわずか7〜9%にすぎない。
年齢層も影響しており、若年層よりも高齢層のほうがトランプ氏の外交方針に好意的な傾向が読み取れる。共和党支持者のなかでも18〜49歳の層は、50歳以上の層と比べると支持率が低くなっているという。
◆「ロシア寄りすぎる」と43%が回答
ロシア・ウクライナ問題について、トランプ氏が「ロシアに寄りすぎている」と考えるアメリカ人が43%に上っている。「バランスが取れている」と見る人は31%で、「ウクライナに寄りすぎている」という意見はわずか3%だった。こちらも党派による認識の差が鮮明だ。共和党支持者の57%が「バランスが取れている」と評価する一方、民主党支持者の72%は「ロシアに寄りすぎている」と受け止めている。
なお、この調査の後、トランプ氏はロシアへの姿勢を変化させ、「プーチンに非常に怒っている」と述べたが、この言動は調査に反映されていない。
イスラエル・パレスチナ問題については見方が分かれている。「イスラエル寄りすぎる」と感じる人が31%いる一方、「バランスが取れている」と考える人も29%いる。
◆領土獲得計画に過半数が反対、関税政策にも懸念
グリーンランドとガザ地区の「接収」計画については、アメリカ国民の大半が反対している。調査結果によると、グリーンランド接収には54%が反対し、ガザ地区接収については62%が否定的な見解を示した。ガザ地区の接収は国際法違反にあたると指摘されており、国連はこの計画を「民族浄化に等しい」と厳しく批判している。
中国への関税政策については、52%がアメリカ経済に悪影響を及ぼすと考え、53%が自分自身の生活にも打撃があると見込んでいる。政治専門紙ヒルによると、共和党支持層のなかでも不安が広がっているという。共和党支持者で「個人的に良い効果がある」と答えたのはわずか17%にとどまり、30%は「悪影響が出る」と回答した。なお、調査はトランプ政権が世界的な関税措置を打ち出す前に行われた。
対ロシア政策や追加関税で世界に衝撃を与えるトランプ政権だが、アメリカの世論にも戸惑いがにじみ出ている。




