中国で発見された新種のクモ6種 「動物地理学的な空白が埋まる可能性」

画像はイメージ(Flicker/ Mohamed Aymen Bettaieb

中国の山岳地帯で発見された6種のクモが新種であることが判明し、注目を集めています。

【画像】「動物地理学的な空白が埋まる可能性」中国で見つかった新種のクモ

詳細は学術誌「ZooKeys」に掲載されています。

変わった外見をしたクモが発見される

このたび新たに「フォルクス・フンギフォルメス種群」に属する新種として登録されたこれらのクモは、燕山・太行山脈と長白山脈に挟まれた山岳地帯で発見されました。

6種にはそれぞれチャオヤン、ホーペイ、フルダオ、ジンヂョウ、リャオニン、チンという地名にちなんだ命名がされています。

一般的なフォルクス属は、非常に長くて細い脚を持っています。

しかしこれらは体長が4mmを超える大型種で、8つの眼、均等なドーム状の前体部、高さよりも長い円筒形の後体部といった特徴で区別されているといいます。

またいずれも細長い脚と体を持っており、山岳地帯の岩場や崖の張り出し、洞窟の入り口などの限られた環境に生息。

全長が6mm程度のオスには、触肢(交接器官)や全長5mm程のメスの外雌器に独特な構造が見られました。

さらに鋏角(きょうかく)や触肢の先端には、特徴的な突起やフック状の構造を備えているほか、腹部に斑点が見られるのもこの種群に共通する識別の手がかりとなっています。

同6種はDNAバーコーディングによる解析も実施され、形態だけでなく遺伝的にも新種であることが裏付けられました。

この発見に対して研究者らは、「中国北部における動物地理学的な空白が一部埋まり、隣接する未調査地域にもさらなる多様性が存在する可能性がある」との見解を述べています。

Text by 本間才子