新種の菌類5種を発見 「原生林に隠れた種がいるのは興味深い」

画像はイメージ(Flicker/ Alan Hern

欧州と北米の森林土壌から、Piloderma属(ピロデルマ属)に属する菌類の新種5種が発見されました。

学術誌「ScienceDirect」に掲載されました。

菌類の分類体系に大きな見直しを促す発見として注目されています。

新種の菌類を発見

調査は、スウェーデンとフィンランドの研究機関が実施。

新種として報告されたのは、フロンドーサム、フューガックス、ランプロリサム、ルミノーサム、ミラビレという5種です。

ピロデルマ属は、傘を持つ一般的なキノコとは異なり、白っぽい菌糸状の姿で森林の土壌に広がる「皮状菌類」と呼ばれるタイプの菌類。

見た目はカビに似ていますが、分類上はまったく異なる存在です。

主に寒冷地に生息し、樹木の根と共生しながら栄養循環を支える重要な役割を果たしています。

これまでに13種が知られています。

今回の5種は北ヨーロッパおよび北米の針葉樹林を中心に採取され、形態観察やDNA解析の結果、いずれも既知の種とは異なる新種であることが確認されています。

ゆっくりと繁殖し、これまで「隠れ菌類」として見過ごされてきたこの1種には、ラテン語で「隠れる」を意味するフェーガックスという名がつけられました。

中でもフロンドーサムは、菌糸のふちが白く縁取られ、まるで白いレースを広げたような繊細な姿が特徴。

肉眼でも見つけやすい菌種です。

また、ルミノーサムは、明るい黄色〜オレンジ色の子実体を持ち、一般的な種と外見がよく似ていますが、両者は一貫した違いがあることも判明しました。

さらに今回の研究では、これまで代表的な種とされてきたビッシナムを、正式に標準型(エピタイプ)として認定。

今後はこの基準に沿って、他の種との違いがより明確に判断できるようになるということです。

「原生林に隠れた種がいるのは興味深いですが、環境破壊によって絶滅の危機にあります。私たちの研究が、この菌類への関心と驚きを呼び起こすことを願っています」と、論文筆頭著者のステン・スヴァンテッソン氏は語っています。

Text by 本間才子