ここがヘンだよ日本の選挙―海外紙の指摘
衆院選の投票がいよいよ明日行われる。「日本を、取り戻す」をスローガンに掲げる、安倍晋三総裁率いる自由民主党が勝利を収めるだろうとの見方が有力となっている。日本の報道では、すでに選挙後の枠組みに焦点を当てた報道も見られる。こうした中、海外各紙も、政権復帰が確実視される自民党に注目する一方、日本の選挙が抱える問題点を報道している。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、20年間におよぶ景気低迷や、緊張が続くアジア域内での外交問題について、大胆な政策で臨もうとしている自民党に軍配が上がるだろうと報じている。さらには、連立が予測される公明党と合わせて衆院で3分2の議席を確保する可能性も出てきたようだ。これが実現すれば、「ねじれ国会」を解消し、これまでに先送りされてきた重要法案を成立させることが可能となるとした。特に注目されているのは、無謀とも言われる金融政策で、リセッションからどう抜け出すかという点だ。また外交面においても、安倍氏の強力なナショナリズムがどう政策に具体化されていくのか、中国や韓国は用心深く見守っているという。
ただ、自民党の勝利はほぼ確実とされるものの、実際には圧勝というわけではないようだ。世論調査での自民党の支持率は2割程度となっており、半数がどの政党を支持すればいいのか分からないという。フィナンシャル・タイムズ紙が、陸前高田市の被災者を取材したところ、政治に対する不信感が浮き彫りになっている。東日本大震災の復興に向けて国が実施してきた支援内容への不満もさることながら、衆院選に向けて全国で展開された政党や政治家同士の駆け引きに人々はうんざりしていると報じている。
またウォール・ストリート・ジャーナル紙は、海外の選挙ではインターネットが幅広く活用されている時代に、日本ではインターネットを使った選挙運動が禁じられていることが問題視されていると取り上げている。候補者も有権者も、よりタイムリーで直接的な情報発信を望んでいる選挙期間中に、不条理とも言える規制に疑問の声が多く挙がっているという。