カナダで日本発のチーズケーキ店に長蛇の列 「アンクル・テツ」とは何者?
今年3月、カナダ最大の都市トロントに「ジャパニーズ・チーズケーキの店」が華々しくオープンした。その名も「Uncle Tetsu’s Japanese Cheesecake(てつおじさんのジャパニーズ・チーズケーキ)」。まだまだ寒い季節にもかかわらず、店の前には多数の人(主に東洋人)が列をなし、待ち時間が2時間を超えた。さらに驚くべきは、8月になった今も連日長蛇の列ができていることだ。
カナダの有力全国紙グローブ・アンド・メール紙によると、平均の待ち時間は1時間以上、ピーク時の土曜の午後にもなると3時間に及ぶこともある。手作りが売りで一度に12個しか焼けないため、どうしても列ができてしまうという。
しかしこれに対するほとんどの日本人の反応は、「てつおじさんって誰?」ではないだろうか。
◆実は世界70店舗以上の大人気チーズケーキ店
実は「てつおじさんのチーズケーキ」は福岡に本店を持ち、世界に70店舗以上を出店する大人気店。その大半は中国(上海だけで21店舗)で、そのほか台湾、シンガポール、フィリピン、タイ、マレーシア、さらにはカンボジアにも出店している。しかし東京には店舗がないため日本での知名度は低く、結果として日本発のブランドなのに日本人の反応が薄いという不思議な現象が起きている。
公式ウェブサイトによると、カナダで販売するチーズケーキには糸島産の板垣農場の赤玉子と北海道産のよつ葉バターを使っており、芳醇でクリーミーな味わいが特徴だそうだ。
世界でもっとも多文化・多民族の街と呼ばれるトロントに北米初の店舗を出店したことで、「てつおじさんのチーズケーキ」を既に知っていた、もしくは噂を聞いていたアジア系の人々が殺到し、口コミで大人気店になったわけだ。レビューサイトのYelpには、開店して半年の店としては異例の270件以上のレビューが投稿されていて、さらにその大半は待ち時間についても触れている。並ばないと買えないことで有名になったため、お呼ばれの際の話のネタになるお土産としても重宝されているようだ。
大衆紙NOWによると、6月にはケーキ店のすぐ隣に「抹茶カフェ」もオープンし、北米第1号店は大成功をおさめたと言ってよさそうだ。
◆トロントはジャパン・ブーム
ここ10年ほど和食ブームが起きているトロントでは、ここ数年で寿司屋だけでなく複数の本格的なラーメン店や「イザカヤ」がオープンしている。人気の高い「金とんラーメン」はトロント市内だけで4店舗も展開しているし、2009年にバンクーバーからトロントにも進出した「Guu Izakaya」はYelpでレビュー772件、平均4つ星を誇る。レストラン以外では、去年11月に無印が出店し、2016年秋にはカナダ初のユニクロも2店舗オープンする予定で、今トロントではちょっとしたジャパン・ブームが起きている。
※本文中「北海道産の四葉バター」は「北海道産のよつ葉バター」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。本文は訂正済みです。(9/2)