ロボットに愛情注ぐ日本人、「ペッパー」をどう受け止める?海外メディアも注目

 ソフトバンクは、20日、感情認識パーソナルロボット「Pepper(ペッパー)」の一般向け販売を開始した。従来の人型ロボットとは一線を画す、「感情を持つ」Pepperの市場投入に、海外メディアが注目している。

◆あっと言う間に完売
 Pepperは、ソフトバンク・ロボティクス社の子会社である、フランスのアルデバラン・ロボティクス社が開発した。ソフトウエアで人工的に作られたものだが、自分自身の感情を持ち合わせており、人間の悲しみ、怒り、喜びなども、さまざまなセンサーやカメラを通して読み取ることができる。

 本体価格は19万8000円で、これに基本プラン(1万4800円/月×36カ月)と保険パック(9800円/月×36カ月)を付けるとかなりの額となるが、すでに20日の第一次申込受付分1000台が、受付開始後わずか1分で完売している(ソフトバンク ホームページ)。

◆寄り添うロボットは、お手伝いは苦手?
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)は、何十年も前から、日本では人型ロボットが開発されてきたとし、その代表として、二足歩行やジャンプができるホンダの「アシモ」を紹介。また、トヨタ、ソニー、東芝などが、人間に近い機能を持ち合わせたロボットの開発を行ってきたことを紹介している。

 多くの人型ロボットが、人間の動きを真似て、作業を補助する役割を担うために開発されてきたが、Pepperはこれらのロボットとは違う。ドイチェ・ヴェレ(以下DW)は、家事を手伝ってくれるわけでもなく、二足歩行もできないが、Pepperは人間のように、褒められれば喜び、怒れば声を荒げたり、ため息をついたりすると説明。ここで大切なのは「楽しさ」であり、人間に「寄り添う仲間」としてデザインされたPepperには、それ以外の利用法はあまりないと述べる。

「部品が高く、多い」、「大量の技術が、この機能性ゼロのロボットに使用されている」と批判的な専門家もいるが、ソフトバンクは長期的展望に立っており、すでに中国のアリババや台湾のフォクスコンの出資を受けることで合意。ロボット事業を世界に拡大することを視野に入れており、Pepperを計画実現のための第一歩と位置付けているらしい(DW)。現状では機能的な限界があるとしながらも、Pepperがどのように消費者市場で受け止められるかは、業界にとって重要だとDWは述べている。

◆ロボットへの愛情は自然
 さて、人とふれあうロボットと言えば、ソニーのロボット犬「AIBO(アイボ)」だろう。2014年3月、同社はAIBOの修理サービスを終了。事実上の「ペット」の死の宣告と受け取られ、大きな話題となった。

 ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)は、ロボットが人間のビジネスや生活をどのように変えようとしているのかを探る、ロボット特集を最近組んでおり、その中でAIBOの合同葬儀や、AIBOを溺愛する日本人カップルのビデオを紹介している。読者のコメント欄には、奇妙だと言う意見もあったが、生き物ではないロボットへの愛情を理解する声も多かった。

 数人の読者は、子供時代にかわいがっていたぬいぐるみや何十年も大切に使ってきた思い出の品に、AIBOを重ね合わせたとコメント。お金を出せばもの自体は買い直せるが、一緒に過ごした思い出は交換ができないと話している。また、ものに愛着が湧くのは人間本来の性質。スマホでも、くつでも、ロボットでも同じだと指摘する声もあった。ある読者は、やさしさやうれしさなど、ロボットと過ごしたことで生まれたポジティブな感情は、ロボットがいなくなっても残るのは明らかとし、生きものと変わらないと述べている。

 これから人間と暮らすPepperたち。どのような関係を家族と築いていくのかは、気になるところである。

Text by NewSphere 編集部