日本、2割の大酒飲みが7割消費 他国に比べ高めの集中度 OECD調査

 経済協力開発機構(OECD)は、加盟国を対象に飲酒に関する調査を行った。アルコールの消費量は先進国では減少傾向。しかし、青少年や女性の度を越した飲酒が増加していることが分かった。過度のアルコール摂取が原因の、社会的、経済的損失の大きさも懸念されている。

◆低年齢層、女性にも広がる危険な飲酒
 OECDの報告書によれば、加盟34か国の純アルコール消費量の平均は、2012年で一人当たり約9.1リットルとなり、20年前と比べ2.5%減少。アメリカCNBCによれば、それでもワイン100本分の量に相当するらしい。ちなみに世界の平均は6.2リットルで、日本では7.2リットルだった。

 報告書は、量、頻度ともに、青少年の飲酒の増加を指摘。15歳以下で飲酒経験のない者の割合は、2000年以降、男子で44%から30%に、女子では50%から31%に減少した。また、酔っぱらった経験のある者は、男子で30%から43%に、女子では26%から41%に増加していると言う。調査では、1回に5~8杯のアルコール飲料を消費する場合を過度と定義しているが、そのような一時的な大量飲酒が、若者の間で広がっているという。

 過度の飲酒は、女性の間でも増加している。男性では、低学歴、社会的・経済的地位の低い人ほど危険な飲酒にはまりやすいとされているが、女性の場合は、高学歴で社会的・経済的地位が高いほど、リスクも高いという結果になった。また、OECD出版のシニア・エディター、パトリック・ラブ氏は、ブログ『OECD Insights』の中で、ミドルクラスの女性が飲酒をする機会は、今やどこにでもあると指摘。金曜の夜、貧しい女性労働者が、ウォッカの瓶を抱いて道端でひっくり返っているという、典型的なアル中女性のイメージは、もはや過去のものだと述べる。

◆飲み過ぎは社会悪をもたらす
 報告書は、有害な飲酒は個人の選択の結果であるものの、社会に大きな影響を及ぼすと指摘する。過度の飲酒は、直接的な死亡、疾病の原因となるだけでなく、交通事故、暴力、犯罪等を引き起こし、他者へ甚大な影響を与えることもある。また、妊婦の過剰なアルコール摂取が、胎児に障害を引き起こす可能性も見過ごせないという。

 経済面を見れば、飲酒が、生産性や賃金の低下、欠勤の増加、成功や出世のチャンスの減少につながっている場合もあるという(CNBC)。過度のアルコール摂取による生産性のロスは、ほとんどの国でGDPの1%程度になるとOECDは見ている。

 これらの問題への対策としては、日ごろから医師を通じて啓蒙し、ヘビードリンカーを作らないこと、酒類の価格を引き上げて消費を減らすこと、飲酒運転を厳しく取り締まり、事故を減らすことが挙げられている。また、酒類製造者や小売店等、飲酒を勧める業界側も巻き込んで、開かれた対話を持つことの重要性も指摘されている。

◆日本では飲み過ぎは一部だけ?
 さて、今回の調査では、国別の報告も出されている(カントリー・ノート:日本)。日本のアルコール消費量は前述の通りOECDの平均を下回った。しかし、最も飲酒が多い上位20%の人口が、すべてのアルコール消費量の70%を消費しており、飲酒の分布が集中していることが分かる。つまり、一部の大酒飲みが、大量の酒類消費に貢献しているということらしい。国別報告書の中で例示されている13ヶ国の中では、ハンガリー(90.6%)、アメリカ(72.6%)に次いで、上位20%の消費割合が高い。逆に低いのが、フランス(49.7%)、スイス(53.9%)、スペイン(57.7%)などの国である。

 冷たいビールがおいしい夏も間近。お酒は節度を守り、楽しくいただきたいものである。

Text by NewSphere 編集部