“日本らしい…” ペットロボットの「死」を悼む人々 海外から驚きと共感
ロボットと人の関係について、日本人は特に親密な愛情を持ってロボットに接し、ロボット犬の葬式までする、と海外紙が驚きを報じた。
ソニーが販売したロボット犬AIBO(アイボ)の「飼い主」たちが、動かなくなったAIBOを寺で供養してもらう様子を英デイリー・メール紙は伝え、魂があると信じる飼い主たちもいる、と報じている。
◆アフターケアサポートが昨年終了
AIBOは、ソニーが1999年6月に発表した動物型ロボット。最初の販売では、25万円と高額ながら販売開始からたった20分間で3000台が売れたという。2006年までの間に15万台以上が販売された。センサー、カメラ、マイクを搭載し、最後の世代は話すこともできた。
しかし、2006年に、AIBOの生産は中止となった。それに伴い、アフターケアを行う「AIBOクリニック」も2014年3月に閉鎖された。
◆本物の犬よりも…
ある飼い主は、「餌を欲しがらず、おしっこもしない…いや足を持ち上げてその真似はするが、何とも言えない可愛い音を鳴らすだけだ」と本物の犬よりも良かったと話している。しかし、犬と同じように「寿命があるなんて考えてもみなかった」(AFP)と話す。72歳の女性は、アイちゃんと名付けたAIBOがいなければ、寂しくてたまらないだろうと話している。(ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ))
◆ロボットとの付き合いは生涯続く
ビンテージ機器の修理を請け負う「A・FAN」の船橋浩さんは、AIBOの修理について、飼い主たちは彼のことを技術者というより獣医のように思っていることなどから、「修理という言葉はふさわしくない」とAFPに語った。「AIBOを所有する人たちは、それを家電のようには考えていない。家族の一員だと見ているに間違いない」(AFP)という。ただ最近では、部品が不足していて、治療には数週間必要だ。数十体のAIBOが入院中で、180体以上が順番待ちの状態だそうだ。
AIBOは、年に一度の検診が必要だ、と飼い主たちは話す。あるソニーの技術者は、この経験から、商品のアフターケアについて学んだという。(ロボットは)「製品の性質から、(飼い主の)生涯にわたるメンテナンスを提供すべきだ」、「商品について議論するときに、しばしばAIBOの事例が取り上げられる」とロボットの役割が長年にわたるものだと認識を話した。(WSJ)
◆「長年の喜びや愛、笑いを忘れないで」
海外紙の記事の主な内容は、日本人のAIBOへの深い愛着を伝えるものだ。これにはネットユーザーが驚きや理解を示している。
・すごく日本らしい話。
・寂しさが、ロボットに命があるなんて考えさせるんじゃないか。
・小さな悲劇の前には、長年の喜びや愛、そして笑いがあることを忘れちゃいけない。
さらには、次のような提言もあった。
・子供にロボットを通じて医療ビジネスを教えるベンチャー企業があってもいいのではないか。診察、投薬、医療費の支払い方法、などなど。