コーヒーを飲むと寿命が2年延びる可能性 研究
ポルトガルの研究チームが、適量のコーヒーを定期的に飲むことで平均寿命が延びると発表した。過去にはコーヒーの摂取は有害だと見られていたが、ここ数十年の間に有益だという研究結果が増えつつあり、今まで見過ごされてきたコーヒーの健康効果が注目されている。
◆1日3杯で効果あり! 健康寿命も延びる
この研究はポルトガルのコインブラ大学の研究チームが行い、成果が科学雑誌エージング・リサーチ・レビューズに掲載された。ヨーロッパ、アメリカ大陸、オーストラリア、アジアの人々を対象にした85の先行研究を調査し、死亡率や健康指標とコーヒーの関係を分析した。その結果、コーヒーを1日に3杯程度飲むと、平均的な人で寿命が1.84歳延びることが判明したという。
さらに、健康寿命の延長につながることも分かった。適量のコーヒーを定期的に飲むことで、加齢による機能低下を緩和し、物忘れ、機嫌、体調不良を和らげる効果もあったという。また、心血管系、脳血管系、がん、呼吸器疾患関連死を含む主要な死亡原因の減少との間に、一貫した関連性があることも分かった。
◆体に悪いは過去の話? 科学的に理解進む
科学系サイト『メディカル・エクスプレス』は、今回の研究は300万人近くを対象にした大規模なもので、統計的有意性があり、コーヒーの摂取と主要な原因による死亡率の低下との間の関連性の信頼度を高めていると評価する。
コーヒーは現在、水の次に世界で最も頻繁に飲まれている飲料だが、過去には有害だと言われることも多かった。しかしここ数十年で、有益なものへと評価が変化しつつあるという。コーヒーの主成分であるカフェインとクロロゲン酸が基本的な生物学的プロセスに影響を及ぼし、覚醒作用、抗酸化作用、抗炎症作用を持つというメカニズムが、科学的に理解されるようになったからだ。しかし、これらがどのように老化に関与しているかは不明だ。
◆コーヒー業界が資金提供 研究にはバイアスも?
米高級ライフスタイル系サイト『ロブ・レポート』は、アメリカでのコーヒー消費量が20年ぶりの高水準に達したことを考えれば、寿命が延びるというニュースを聞いて喜ぶ人は多いだろうと述べている。
もっとも、今回の研究について、コーヒー業界が非営利団体であるInstitute for Scientific Information on Coffee(ISIC)を通じて資金提供を行っている。メディカル・エクスプレスは、ISICは科学的誠実さを重視し、信頼できる研究機関と協力することが多いとしながらも、コーヒー業界のみを利害関係者とすることで、業界に肯定的な知見を強調しようと、選択バイアスが生じた可能性を指摘している。
さらに、コーヒーに健康効果があると言っても、今回の研究では1日3杯程度が適量とされており、飲み過ぎは禁物だ。欧州食品安全機関(EFSA)は、大人の場合、1日3~5杯までは安全としている。ただし、妊娠中の女性やカフェイン過敏症の人は、摂取量を制限する必要がある。