マクロンの「ノートルダム外交」は成功? トランプ、ゼレンスキーと会談
2019年4月に発生した火災から約5年が経過し、パリのノートルダム大聖堂が12月に再開。オープニングイベントには、ウクライナのゼレンスキー大統領も参加した。
◆ノートルダム大聖堂の「復活」
2019年4月15日の火災から約5年経過した先週末、パリの中心部における象徴的な建築物の一つであるノートルダム大聖堂が再オープンした。大聖堂は火災以前、国内外から年間1000万人から1200万人の観光客が訪れる人気スポットだったが、再オープン後はそれを上回る1400万人から1500万人が訪れるとフランス観光局は予測。訪問者は事前登録が必要になる。
また、今月再オープンしたものの大聖堂の再建プロジェクトは2028年まで継続するという。2025年は建物内部の修復、2026年には新しいステンドグラスの設置、2028年までにはファサードと前庭の周りに150本の木が植えられ、屋根つきのプロムナードが完成する予定だ。
7日の土曜日夜に開かれたオープニングセレモニーには約1500人が参加。アメリカ大統領夫人のジル・バイデン博士、イギリスのウィリアム王子のほか、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領、アメリカのドナルド・トランプ次期大統領も参加し、注目を集めた。フランスのマクロン大統領はノートルダム大聖堂の修復が迅速に進み、再開に至ったことに対して「喜びと誇りを共有する」と述べた。
◆世界が注目するイベントを機に、外交
マクロン大統領には、首相の辞任と内閣総辞職という内政上の危機への注目をそらし、ノートルダム大聖堂の再開というグローバルイベントにおいて団結のメッセージを発信し、外交手腕をアピールしたいという狙いもあったようだ。
アルジャジーラは、このタイミングでゼレンスキー大統領とトランプ次期大統領をパリに呼び寄せ、土壇場の外交をやってみせたと報じる。マクロン大統領は、ノートルダム大聖堂オープニングセレモニーの前に、両名を大統領官邸に招き、非公開の会談の場を設けた。アメリカのウクライナ支援に対して疑問を持っているトランプ氏が、来月就任後にウクライナへの支援を止めるのではないかという懸念が上がっているなか、ゼレンスキー大統領にとって、今回の会議は特に重要な意味を持つ。
ゼレンスキー大統領は会談後、Xに次のように投稿した。「トランプ大統領はいつものように毅然(きぜん)としている。(中略)私たちは皆、この戦争をできるだけ早く、公正な方法で終わらせたいと願っている。私たちは同胞について、現地の状況について、そして公正な和平について話し合った。引き続き協力し、連絡を取り合うことで合意した」
トランプ大統領の正式就任を前に具体的にどのような話し合いが行われたのかは明らかにされていないが、少なくともマクロン大統領にとっては満足のいく会談だったのではないだろうか。