草食化・セックスレスで日本の少子化加速!? 海外紙が真剣に心配

 昨年、日本のカップルにとっての一大イベント、クリスマス・イブに合わせ、複数の海外メディアが、日本の少子高齢化問題にスポットを当てた特集記事を掲載した。そのいずれもが、少子高齢化を「日本の危機の震源地は国会や生産現場ではなく、ベッドルームにある」(フォーブス誌)、「そう遠くない時期に爆発する危険な時限爆弾だ」(ワシントン・ポスト紙=WP)などと、日本、ひいては世界経済の将来をも左右する非常に深刻な問題だと捉えている。

◆クリスマス・イブに「カップルお断り」の店も
 米ニュース専門局CNBCの公式サイトは、今年の日本のクリスマス・イブの動向と絡めて、少子高齢化問題に切り込む記事を掲載している。同誌は、「日本のカップルにとって、バレンタインデーよりもクリスマス・イブの方が、ディナー・イベントとして重視されている」と記す。しかし、その一方で、20代、30代の日本人男性の収入が下がっている点に触れ、経済的な要因から恋愛に消極的な若者が増えているとしている。

 記事は、高級ホテルの17万4000円、10万円といったフルコースのクリスマス・ディナーが早くから予約でいっぱいになった一方、低価格帯のディナーの多くが最低ラインの5000円台に値下げを余儀なくされたと紹介。さらに、あるレストランがクリスマス・イブにあえてカップルを締め出し、“お一人様”の男性向けの「2.5キロのスパゲティ・ボロネーゼ=1800円」のスペシャル・メニューを用意したケースを取り上げている。

 CNBCは、分析の根拠に、クリスマス・イブに向けて行われた明治安田生活福祉研究所の調査データを取り上げている。それによれば、日本人女性の大半は将来のパートナーに最低でも年収400万円を求めているが、実際には30代男性の26.7%しかその水準に達しておらず、20代ではさらに半数以下になるという。そもそも、収入以前に、パートナーがいると答えた男性は20代で22%、30代で15%しかいなかった。

◆「性的に積極的な女子大生」も50%を切る
 各メディアは、日本の将来が深刻な危機に陥っていることを示す、国内外の機関による調査データを数多く挙げている。

・16歳から24歳までの女性の45%、男性の25%が「性的な接触に関心がないか、嫌悪している」(WP、国立社会保障・人口問題研究所「第14回出生動向基本調査」より)
・日本人の半数以上が独身だ。18歳から34歳までの独身女性の49%と独身男性の61%は、いかなる種類のロマンチックな関係も持っていない(同上)
・子作り適齢期の日本人の3分の1以上は、セックスをしたことすらない。18歳から34歳までの女性の39%が処女で、男性の36%が童貞だ(同上)
・「性的に積極的な女子大生」は、2005年には60%いたが、2012年には47%に下がった(フォーブス、日本性教育協会調べ)

・日本の総人口は昨年、21万2000人減り、過去最大の減少を記録した。出生数も前年の121万人から大幅に減り、過去最低の103万人となった(WP)
・日本の労働人口(15-64歳)は現在、約7900万人。2050年には5200万人以下に落ちる(フォーブス、スタンフォード長寿研究センター調べ)
・2040年までに80歳以上の人口が15歳以下を上回る。
・総人口は現在の1億2700万人から、2060年には8700万人に減る。しかも、その40%近くが65歳以上となる(フォーブス)

◆「日本の高齢者は自殺をするために列を作りはしない」
 WPは、上記の処女・童貞率を「異常に高いうえに、なんとこの10年間ほとんど変化がない」と大きな驚きを込めて記す。他の数字についても、日本の「文化的な奇妙さ」を示すものとして、異常性を強調している。そして、それは日本だけの問題ではなく、世界経済に悪影響を与える国際的な大問題だと警告する。予想通りに少子高齢化が進めば、世界第3位の経済大国が破滅する見込みは非常に高く、アメリカや中国なども大きな影響を受けるだろう、というのが同紙の主張だ。

 フォーブス誌も、労働人口が増え続けているアメリカなどと比べ、日本の人口動態の縮小傾向は異常だと警告する。同誌はそれを「警戒警報が鳴り響いている」「破滅をもたらす時限爆弾を抱えているようなものだ」などと表現している。特に、高齢者を支えるための財政負担は深刻だとし、「(日本人)全員が『急いで死ね』という号令に従えば、国の後退は制御可能になるかも知れない」「しかし、日本人の高齢者は自殺するために列を作りはしないだろう」などと、強い喩えで事態の深刻さを表わしている。

 同誌はさらに、日本の「低い犯罪率」「素晴らしい芸術的な伝統」「優れたインフラ」などは、このまま少子高齢化が進めば維持できなくなるとも記している。ただし、長期的な人口の動きを予測するのは難しく、各機関の予想値が外れる可能性も決して低くはない、ともしている。一方、WPは、「不謹慎な提案かもしれないが」と断りつつ、野田聖子議員発案の「堕胎の禁止」を、やや皮肉を込めて効果が見込めそうな政策の一つに挙げている。

Text by NewSphere 編集部