民主党の再エネ固定買取制度、見直しへ 厳格化した新ルールに海外も注目

 経産省は18日に、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の見直しを発表した。福島の原発事故を受け、自然エネルギーの利用を促進しようと、2012年7月から始まったこの制度には、数々の問題点が指摘されており、ついにメスが入ることになる。

◆原因は太陽光
 ロイターは、今回の見直しは、太陽光発電事業者に対処するためだと指摘する。FITは、風力、太陽光、地熱などの再エネ資源から作られた電気を、設定された期間は固定価格で買い取ることを電力会社に義務づけているが、当初世界で最も高いレベルの買い取り価格を太陽光に設定したため、電力会社側のキャパシティを大きく超過するほどの申請が殺到するという問題が生じていた。また、太陽光は天候により出力が不安定になるという難点もあり、一部の電力会社が送電網へのアクセスを今年初めから制限するという事態に陥っていた。

 さらに、申請の許可を得たにも関わらず、多くの事業者がプロジェクトを開始しないという問題もあった(ブルームバーグ)。これは、現行制度では「設備認定」と「接続申込」のいずれか遅い方が行われた時点の調達価格を適用することとしているため、申込だけして、高い買取価格をとりあえず確保しようという業者が多かったことによる。

◆改定後はより厳しく
 改定されるルールでは、接続契約の締結後1ヵ月以内に接続工事費用が入金されない場合や、契約上の予定日までに運転開始しない場合は、接続枠は解除される。また、事業者への調達価格の決定時期は、契約の申請が出されたときから、送電網接続の契約が取り決められたときに変更される(ブルームバーグ、ロイター)。

 現在、500kw以上の太陽光発電・風力発電に義務づけている、供給が需要を上回る場合は年間30日まで出力制御をおこなうという取り決めは、500kw未満の太陽光発電・風力発電にも適応となる。 新ルールでは、住宅用太陽光発電も含め、すべての太陽光、風力発電が対象となり、需要と供給をよりよく反映させるため、出力制御の最大期間は、1日単位ではなく、時間単位で計算される(ブルームバーグ)。

◆将来再エネは原子力を負かす?
 再エネを語る際に、いつも比較に出されるのが原子力だ。イギリスでも同様で、英環境情報サイト『エコロジスト』は、長期的には必ず原子力より再エネが安く競争力ある選択肢になるとする、テクノロジー政策専門家で英オープン・ユニバーシティのデビッド・エリオット名誉教授の寄稿記事を掲載している。

 同名誉教授は、自国が再エネ普及に励むより、原発建設に向かっていると嘆く。同氏によれば、イギリスの電力の15%は再エネで賄われているが、他のEU諸国と比べ、利用は遅れているようだ。

 イギリスでは、現在、ヒンクリー・ポイント原発で新たな原子炉建設が提案されている。建設をバックアップしているのは、フランス電力会社で、アレバの欧州加圧水炉型を予定しているという。エリオット氏は、同型の原子炉は、他国では多額の予算オーバー、工期の遅れなどの問題が生じており、原発建設は再エネに投資するより高くつくと主張する。

 エリオット氏は、日本ではもはや原発が作れない日立や東芝も、イギリスの原発建設に参加していると指摘。同氏は、再エネより格段に条件の良い長期の補助金と融資を出して、外国企業に原発建設を任せるイギリス政府に、納得がいかないようだ。

Text by NewSphere 編集部