ポルシェとレクサス、ロシア富裕層の人気急上昇の背景とは プーチン大統領も注目?
11月、ロシアでポルシェ•カイエンの販売が一挙に55%上昇した。
ポルシェ•カイエンは日本円にして約1100万円ほどだ。ロシアの平均給与は23,000ルーブル(約90,000円)であり、容易に買える車ではない。また、今年に入ってルーブルは対ドルレートで60%、対ユーロで40%、それぞれ下落している。それにも関わらず、なぜポルシェが売れているのか。
◆富裕層の投資?
ロシアのインフレ率は9%で、ルーブルは下落する一方だ。GDPもマイナス成長に入り、経済危機を迎えたロシアで、富裕層は、価値が下がらない高級贅沢品を積極的に求めている。そのひとつがポルシェへの「投資」である。ポルシェ車は、ロレックスや宝石と同じで、価値を保つことが出来る、と考えられている(スペインのエル•コンフィデンシアル•デジタル紙)。一般車は購入時に20%は下がることとは対照的だ。
ポルシェのあるディーラーは、この10年間でこれ程の売行きを経験したことがない、と答えている。来年は車の価格が値上がりするとされており、年末まで高級車の販売の伸びはまだ続くとされている(スペインのエコノミスタ経済紙)。
またエル•コンフィデンシアルによると、トヨタのレクサスも投資の対象にされており、販売が伸展している。11月は63%の伸びだったという。
なおロシアの人口は約1億4000万人で、上位10%の富裕層が、資産の90%を占有していると言われる(スペインのabc紙)。一方、貧困層は26%だ。
◆大統領専用車にポルシェがエンジン搭載
プーチン大統領も、ポルシェ社にエンジンを開発させて、大統領専用車に搭載することを決めた。
これまでは外車のリムジンを大統領専用車として使っていたが、プーチン大統領は自国での開発・生産を強く要望。2012年に、ロシアのメーカー・マルサ社に依頼した。しかし、試作車は大統領を満足させるものではなかった。
そこで大統領は2013年、自動車開発研究センターNAMIに、次期大統領専用車リムジンの開発を依頼した。同研究所ではマルサ社の前例を踏まえ、ポルシェ•エンジニアリング社にアドバイスを依頼した。協議の末、ポルシェ社がエンジンを開発することになった。V12ターボエンジンで800CV、6.0-6.6リットル•シングルシリンダーエンジンで全輪駆動とされている。
生産コストは150億円から400億円と見積もられており、開発推進部には躊躇いが生まれているようだ。だが、大統領は大変気に入っており、2016年末から2017年には使えるように、と要望している(以上、スペインのモーター紙、フレノ•モーター紙)。