“スマホゾンビの氾濫” 東京の「歩きスマホ」、海外が警鐘 中国では専用レーン登場
スマートフォンに視線を落としたまま歩く「歩きスマホ」の増加が社会問題となっている。海外でも同様の危機感が高まっているようだ。歩きスマホは、駐車してある車や電灯にぶつかって時々恥をかく以上の問題だ、とAFPや米ニューヨーク・デイリー・ニューズ紙などの海外メディアが、東京の例を挙げて警告している。
◆転んでもスマホは離さない
「日本のスマホゾンビ路上に氾濫」と題する記事でAFPは、東京消防庁防災安全課の山本哲也氏の「歩行者あるいは、自転車事故の41%は電話に関係したものだ」「スマホを見ながら歩き続ければ、より多くの事故が起きるだろう」との発言を紹介。
東京消防庁によると、2013年までの4年間に、122人が歩きスマホによる事故で病院に運ばれたという。電灯にぶつかったり、犬に躓いたりする以外にも、スマホを見ている間に電車の踏切に侵入し、死亡する事故も起きている。
東京消防庁の職員は、歩きスマホによる事故は、歩行者の事故の大きな割合を占めていると話す。世界で最も混雑することが知られている東京渋谷駅のような場所では特に、人々がスマホに夢中になるほど、けが人もより増えると忠告している(ニューヨーク・デイリー・ニューズ紙)。
NTTドコモは、スマホを見ながら歩いた場合、その平均的な視野は通常の5%ほどしかないと分析している。また、同社は、渋谷交差点で平均して1度に1500人の通行人がいると仮定し、全ての人が歩きスマホをした場合のシミュレーションも行った。結果は、446件の衝突、103件の転倒、21件はスマホを落としてしまうというものだった。さらに、転倒した者のうち82人は、その状況さえもスマホで誰かに伝えようとするそうだ。かろうじて3分の1の人が何事もなく、渡りきるという。(AFP)
◆解決策は?
最近では問題解決策として、画面上にセンサーにより探知された危険の警告が表示されたり、画面の背景に道の様子が映し出されたりするアプリも開発されている。
AFPによると、中国の重慶市では、歩きスマホ用に歩道が分割された。「スマホ無し」「スマホの利用は認められているが、事故発生に関する全ての責任は利用者が負うものとする」とそれぞれのゾーンに説明が表示されているそうだ。
このような動きは事故を防ぐことを目的としているが、問題は、歩きスマホをする人が自分はどこを歩いているのか、足元に注意を向けることがないということだ、とニューヨーク・デイリー・ニューズ紙は指摘した。
◆日本人の美徳を守るためにも
歩きスマホをしている人は、歩く速度がとても遅い。それをよけるため自転車やベビーカーを押している人は道を逸れて進まなければならず、いらいらするものだ。この危険な困り者たちには他者の冷たい視線が送られる。日本人の持つ社会と協調する心を大事にするためにも、スマホから目を挙げて周りを見ることはまず大事なことではないか、と海外メディアは報じている。