“日本にしては大きな前進” 高校生の男女制服交換イベント、海外ネットでも話題

 山梨県富士吉田市の県立富士北稜高校で11日、男子生徒と女子生徒が制服を交換して1日過ごすイベント「セクスチェンジ・デー」が実施された。生徒の発案によるもので、全校生徒の約4割の299人が参加した。異性の制服を着ることで、「男らしさ・女らしさ」という「当たり前」になっている観念を見直し、自分や周囲について新しい視点を得ることを目的としているという。

◆何を目指したイベントだったのか、海外メディアの報道は?
 事前に参加を希望していた同校の男子生徒117人と女子生徒182人は、毎日新聞によると、ジャージ姿で登校し、体育館でサイズが合う相手と制服を交換したという。

 日本の情報を発信するウォール・ストリート・ジャーナルのブログ「日本リアルタイム」は、このイベントについて、普段とは異なる視点から世界を見るためのユニークな方法、と述べた。

 ゲーム情報を中心としたエンタメブログメディア「Kotaku」(US 版)は、このイベントの主眼点は、あらかじめ定められた男らしさ・女らしさという観念から、生徒たちが自由になれるようにすることだった、と伝えた。異性の制服を着て授業を受けた生徒たちは、それまで当然のことだと思っていたことも、必ずしもそうではなかったと考えたのではないかと、その心中を想像している。

 国際ビジネスニュースサイト「インターナショナル・ビジネス・タイムズ(IBタイムズ)」(インド版)は、このイベントを、先入観と、社会規範にのっとった振る舞いとから、生徒たちを解放するための試みだと述べた。

◆海外メディアならではの着眼点とは?
 海外メディアの報道ならではだが、「Kotaku」および「IBタイムズ」は、日本の中学・高校では制服があるのが一般的だと説明している。制服のデザインは男女で異なっている。ある学校では、男子生徒は「学ラン」と呼ばれる制服を着用し、女子生徒はセーラー服を着用している、と「Kotaku」は伝える。この「学ラン」について、「IBタイムズ」は、ジャケットの一種で、アニメの登場人物と日本の映画スターによって世界的に有名になった、と説明する。

 イベント名の「セクスチェンジ」は、「sex(性)+exchange(交換)」の造語とのことだが、「Kotaku」は、「ジェンダー・チェンジ・デー」と呼んだほうが、はるかにもっと的確だっただろう、と述べた。「セクスチェンジ」は「sex+change」と区切って読むこともできるが、この場合は「性転換」という意味になってしまうからだろう。

 それにもかかわらず、「Kotaku」と「IBタイムズ」では、見出しで“Sex Change Day”と報じられてしまっている。高校で「性転換デー」、という見出しは、読者を驚かせたに違いない。

◆ネットユーザーの反応は?
 「Kotaku」のコメント欄では、学校に制服があることの利点をめぐって、

・制服は、服のことでいじめが起こるのを防ぐ簡単な方法だ。皆が同じものを着れば、何を着ているかで差別される恐れがなくなる。
・社会に出る心構えをさせるのにも役立つかもしれない。多くの仕事では、制服を着たり、ビジネススーツをずっと着るようになるものだから。

などと論じられていた。その他にも、多種多様なコメントがなされていた(以下は大意による抜粋)。

・こんなことをしても日本の女性を取り巻く社会状況は変わらない。
・若い世代がより偏見をなくすよう学ばせる役に立つかもしれないよ。

・ネットで見るクレイジーなあれこれにも関わらず、日本のカルチャーの主流はかなり順応主義的だということを考えると、これは実際、かなり驚き。大きな前進だと思う。

・面白い事実:バグパイプを持たせれば、たちまち、ちっとも変じゃなくなる。

・男女比が合わないみたいだけれど、足りない分はどうしたんだろう。
・制服がある学校に通う人は、たいてい予備を持っているから、それを貸したのでは。

(記事中の写真について)
・なんでスカートをはいた男子の写真ばっかりなのさ!
・女子がズボンをはくのは別に珍しくないからね。

(記事中に「この種のイベントは日本では一般的ではない」とあるのに対して)
・こういうイベント、日本では一般的なんじゃないの?! 漫画は嘘だったのかよ!!

【関連商品】
転校生 [DVD]

Text by NewSphere 編集部