日銀よ、もっと花火を! 外国人投資家が追加緩和に期待
日銀が異次元の政策である「量的・質的金融緩和」を導入したのが2013年4月。投資家に期待と興奮をもたらし、円安株高となった。ところが、最近はその勢いも一段落。投資家からは市場を刺激する新たな策が求められているが、日銀には動きがない。
【投資家の失望】
フィナンシャル・タイムズ紙は、「世界が日本に夢中だったころ、覚えてる?」と述べ、最近日本に対する投資家の興味が低下しつつあると報じた。
「異次元の緩和」発表で、投資家たちは、円を売って株を買うのに急いだ。トピックスの1日の出来高は過去3年間の平均の倍になり、海外投資家の活動の場である国債先物でも、同様の激しい動きが見られた。
ところが同紙は、消費増税後の弱い経済指標にも関わらず、日銀の黒田総裁が「今月も19回連続で何もしなかった」とし、投資家の興味は薄れていくばかりだと指摘する。
今後は、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のポートフォリオの大刷新と、アベノミクスの第三の矢による、期間を絞った具体的な目標のある改革があれば、投資意欲を高める一助となるとしながらも、「日銀がもっと花火を打ち上げなくては、投資家たちが日本に回帰する理由は見つからない」と述べている。
【日本経済をダメにしたのは日銀】
日銀に対する不満はイギリス、サウザンプトン大学の経済金融専門家、リチャード・ワーナー氏からも挙がっている。
同氏は、『The Conversation』で、過去20年の間、日本経済回復のための政策の活力を鈍らせたのは日銀だと指摘。1980年代の日銀の政策は、不動産バブルを作り、金融危機と不景気をもたらした。リスクを嫌う銀行は、生産的目的での実質経済への融資を止め、結果GDPが鈍化。失業の増加、税収減につながったとする。
ワーナー氏は、自身が1995年に最初に定義した「量的緩和」は、銀行が中小企業に融資をするといった、「生産的目的のため、信用創造を増やすための政策のセット」であったとし、日銀は中央銀行の準備金を増やすような、関連のない政策措置を含めるために、それを再定義してしまったと嘆く。
同氏は、安倍首相が2012年の選挙公約に日銀法の改正を含めていたことを指摘し、首相は今こそ、独立しすぎた制御不能の日銀の力を弱めるため、日銀法を変えるべきだと主張する。
【緩和は限界?】
一方、加藤隆俊元外務省財務官は、日銀の量的・質的緩和は「かなり限界まで近づいている」と指摘。しかし、ブルームバーグのエコノミストの半数が、量的・質的緩和の縮小開始の時期に関しては予想できないとし、68%が、早ければ10月には追加緩和があるだろうと答えた(ブルームバーグ)。
日銀が更なる一手を打ち、投資家たちを喜ばせる日も近いかもしれない。