日本、対中国でベトナムと協調 船舶6隻無償供与、沿岸警備隊の訓練も
1日、岸田外相はハノイでベトナムのミン副首相兼外相と会談、南シナ海で中国と対立しているベトナムの要請に応じ、中古船舶6隻や関連機材など約5億円相当を年内に無償供与することで合意した。
ミン副首相兼外相は「両国は南シナ海の平和と安定、航海の安全を維持することが国際社会で共通の責務であり、利害関係者は国際法にのっとった平和交渉を通じて紛争解決に当たるべきだという点で合意した」と述べた。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙(以下、ウォール紙)によれば、ベトナム政府は先月、5億4700万の費用を投じて沿岸警備艇32隻を新造すると発表していたが、建造に時間がかかるために、今回の供与要請になったという。
【訓練も実施】
岸田外相は「これらの船舶に加えて、日本はベトナムの沿岸警備隊を装備させ、彼らに訓練を行う」と述べたという。
またロイターは、日本政府内の匿名ソースからの情報と断った上で、日本から供与される機材には、レーダー機器が含まれていると報じている。
【撤去されていた石油掘削装置】
中国がベトナム沖に石油掘削装置を設置したのが5月。ベトナムでは暴動が起き、少なくとも2人の中国人が死亡し、工場の損壊は数百件に及んだ。その後、ベトナムと中国の艦船が対峙していたが、掘削装置は7月16日、予定より1か月早く撤去された。
ロイターによれば、この時中国は、ミッション完了による撤去だと発表していたが、両国が手打ちを行ったかは不明だという。
ウォール紙は、ベトナムの元政府国境委員長であるチャン・コン・チョック氏の「中国の南シナ海政策はアグレッシブなので、石油掘削装置の撤去は単なる戦術であり、ベトナム政府はすぐに対抗措置をとらねばならない」との発言を紹介している。
【紛争解決は国際法で】
ウォール紙によれば、ベトナムの政府事務所主任大臣グエン・ヴァン・ネン氏は7月31日、地元メディアに対して、中国を国際法で訴える準備を行っていると語ったという。
国連への提訴表明はフィリピンに次ぐものである、としつつロイターは、フィリピンとベトナム両国の軍人がスプラトリー(南沙)諸島で親善スポーツ試合を開催したことを紹介している。6月8日、両国軍兵士は混成チーム同士で対戦、またビールで結束を深めたという。
【続く中国による示威行動】
掘削装置は撤去したものの、ロイターによると、中国軍は7月末から8月初旬までの予定で、渤海、東シナ海、北部湾(トンキン湾)での演習を開始した。
なお、BBCによると、日本政府は1日、尖閣諸島の5つの無人島に命名した。地図上に名称を明記して日本の領海であることを内外に明確にする狙いがあるという。