「アベノミクスがうらやましい」 韓国紙が評価 自国の政治停滞への憂慮からか?
安倍首相が掲げる経済政策「アベノミクス」が実施され始めてから、約1年半。海外メディアからは、経済回復の兆しが見え始めたとして、一定の評価を得ている。
【3本の矢とは】
「デフレからの脱却」、「富の拡大」を実現するために実施され始めた経済政策「アベノミクス」。「3本の矢」といわれる3つの政策で構成されている。
第1の矢といわれるのが、「大胆な金融政策」。金融緩和で銀行へ流通するお金の量を増やし、個人、企業が資金を借りやすくしている。これにより、デフレ意識が払拭されるとされている。
第2の矢といわれるのが、「機動的な財政政策」。約10兆円規模の経済対策予算によって、政府が自ら率先して需要を創出するという。つまり、公共事業などにより、企業に直接お金が渡る仕組みだ。
そして、第3の矢といわれるのが、「民間等位を喚起する成長戦略」。規制緩和等によって、民間企業や個人が真の実力を発揮できる社会へするという。海外からの投資や人材を呼び込み、イノベーションを起こしやすくする狙いもある。
【海外メディアの評価】
日本経済がデフレからインフレに移行しつつあること、日本企業の収益、投資が共に増加していること、日経株価が上昇していることをあげ、一定の効果が見られる、と「ブルームバーグ」は報道している。さらに、エコノミスト紙は、消費税が5%から8%に引き上げられたにも関わらず、消費がさほど落ち込まなかったことにふれ、アベノミクスの効果と安倍首相の運の強さによるものと論じている。
日本に厳しい韓国のメディアも、好意的な評価を示している。中央日報は、「アベノミクスがうらやましい」というコラムで、元気のない自国経済と比較。その中で、第1の矢と第2の矢は、インフレとバブルの再発という危険を伴っていたが、日本経済を回復の方向へうまく向かわすことができた。それは、安倍政権の一貫した成長志向のメッセージが日本全体の心理を変えた結果だとし、安倍首相を暗に称賛している。
また、アベノミクスの成否はまだ出ていないとしつつも、「日本経済の回復という明確な目標に向かって最高指導者が先頭に立ち、一貫した政策を推進し、そのような指導者の意志に国民と企業が信頼を送っているという点」がうらやましいと報じている。
一方で、朴槿恵(パク・クネ)政権が政策を定めることができないまま1年を過ごし、今年2月にようやく政策構想を発表したこと。また、その政策もセウォル号沈没事故の対応のまずさや、それに伴う消費の冷え込みで、スタートをきれずに上半期が過ぎてしまったことを憂慮している。