韓国紙、「反日共闘」の中国を警戒 “甘い言葉で懐柔”、“歴史を歪曲”

 中国の習近平国家主席は7月3日から4日まで韓国を訪問し、朴槿恵大統領と首脳会談を行った。会談は朴大統領就任後、5回目となる。中国の最高指導者が、北朝鮮より先に韓国を訪れるのは初めてだ。

 習主席は首脳会談で、来年の「抗日戦争勝利70周年」記念行事の中韓共同開催を提案した。また4日のソウル大学での講演では、韓国に「互いの親戚の家を行き来するように、交流を強化しよう」と呼びかけた。韓国紙は、これまで北朝鮮を重視してきた中国の外交姿勢からは考えられないことだと報じる一方。警戒感をあらわにしている。

【中国の歴史歪曲を韓国が批判】
 朝鮮日報に掲載された習主席の寄稿に対し、読者からは、「習主席は何となく印象がよく、信頼できそうだ」という趣旨のコメントが寄せられたという。同紙は、記者の間でも、「他のアジアの指導者より度胸があり、思慮深そう」と評価する声がある、と報じている。

 一方、11日付の中央日報は「習近平式『中国の夢』を警戒する」と題したコラムを掲載した。同紙によると、習主席の韓国訪問の目的は、韓国を韓日米三角安保構図から切り離して中国側に立たせることにある。

 同紙は、習主席がたびたび力説する「中国の夢」は、失われた清王朝の領土復活であると断じている。中韓の歴史的な共闘関係についてふれた講演についても、「甘い言葉で韓国人を懐柔」しただけのものと批判した。さらに、習主席が講演で、中国の朝鮮戦争介入についてふれなかったことを挙げ、「あやしい歴史歪曲だ」と厳しく非難した。

【中国は韓国の友人?】
 8日付の朝鮮日報も、「中国は韓国を本当に「友人」と考えているのか」と題したコラムを掲載した。「中国は韓国と『親戚』となる前に『真の友人』となるべきだ」とし、外交戦略への懸念を伝えている。同紙によると、韓国を含むアジア諸国は、中国について、「国益にかなう時は笑顔で近づくが、反するときは態度が変わる」と恐れを抱いているという。

 また、中国が現在、領土問題などで周辺国と軋轢を繰り返していることを指摘し、「東アジアで『中国の友人』といえるのは韓国しかない」と述べた。中韓関係は中国による周辺外交のモデルだとして、「中国が韓国と『真の友人』となる時、世界も中国を信頼するだろう」と提言している。

 さらに、「相手の声に謙虚に耳を傾け、互いの発展を目指す」という習主席の言葉を、中国は行動で示す必要があると述べ、力で押さえつけようとしがちな中国の外交姿勢に釘を刺している。

【米メディアの分析】
 海外主要メディアも、韓国がこれ以上中国外交を積極的に推進するとは予測していない。最近の韓国の世論調査によると、韓国人の70%は中国を脅威と感じ、93%がアメリカとの同盟を支持しているという。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙のコラムニストMichael Auslin氏は、「朴大統領がどの程度中国と接近するかは不透明だ」とみている。

 また同氏は、日本・アメリカは韓国との関係を深める必要に迫られており、それは特に日本の姿勢にかかっている、とみている。アメリカは安倍首相を説得・支援し、韓国との関係改善に向けさせるべき、と論じる。

 ウェブ外交誌『ディプロマット』も、韓国は今後、中国・アメリカとの同盟関係をバランスよく維持していく必要があると分析している。同誌は「韓国は経済的には中国に依存するところが大きい。一方、北朝鮮の脅威を考えるとアメリカへの依存を切り離すことはできず、アメリカへの安全保障上の依存を継続するだろう」としている。

 さらに、「歴史、文化、経済、安全保障面で、中・韓の同盟は東アジアの平和と安定の維持に役立つ。しかし現状が変わるには最低でも20年はかかる」とし、当面、韓国は中国・アメリカとの関係を維持し続けるだろうと予測している。

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Text by NewSphere 編集部