日本の捕鯨、“脅してでもやめさせろ” ニュージーランド野党が過激批判

 7日、安倍首相がニュージーランド(NZ)のジョン・キー首相との会談で、「捕鯨調査の再開」を発言したことで大きな波紋を呼んだ。

 発端は6日から始まったオセアニア3ヵ国(ニュージーランド、オーストラリア、パプアニューギニア)訪問で最初の訪問国であるNZのキー首相との会談で安倍首相が南極海での捕鯨再開への意欲を明らかにしたからだ。

 反捕鯨の立場を取っているNZはオーストラリアと共に、日本の捕鯨調査は国際捕鯨取締条約違反だとして南極海での捕鯨中止を求め国際司法裁判所(ICJ)に提訴していた。ICJは3月31日、日本の主張を退け、国際条約違反としてNZとオーストラリアの訴えを支持する判決を下した。

 そのような背景がある中、NZ公式訪問としては12年ぶりとなる首相の“意欲発言”に対して、NZ公共放送局『ABC』や国営ラジオ放送局『ラジオ・ニュージーランド』などのNZメディアが取り上げている。

【キー首相の発言はあまい!と国内からの声が】
 「いかなる種類の捕鯨にも反対する」と言ったキ―首相の発言に関し、クジラ虐殺に対するニュージーランド人の嫌悪感を表現するのに必要最低限しか言わない、と緑の党がキー首相を批判したことを国営ラジオ局『ラジオ・ニュージーランド』が報じている。

 緑の党のギャレス・ヒューズ議員は、「もし日本が捕鯨を執念深く続けるのなら貿易制裁を含むすべての外交的選択を持って“脅す”べきだった」、とキー首相の発言が“あまい”と思ったようだ。さらに、キー首相のアプローチは法の盲点を探そうとする日本の行動をつけあがらせる、と結んでいる。

 同様に、「日本への外交圧力を高めざるを得ない」と労働党の党首であるデイビット・カンリフ氏の見解を『stuff(Fairfax New Zealand)』は掲載している。なお、キー首相は捕鯨に関する日本の動向を注視し、もし何かあればアクションを起こすと述べつつも、捕鯨再開を止めさせるためにできることは殆どないかもしれないと述べている。

 NZの多くのメディアは総じて、TPPや集団的自衛権などよりも安倍首相の発言を大きく取り扱っているようだ。

【捕鯨に関する見解の相違】
 捕鯨に関して、日・NZ両国の首相はICJの判決に照らして論じられた、とオークランドの日刊紙『ニュージーランド・ヘラルド』は報じている。

 安倍首相はICJの判決に従うとしながらも、捕鯨再開の意欲を示したことにキー首相は「見解の相違」があると述べている。世界第3位の経済大国日本のTPP参加を歓迎している国民党のキー首相と、国内でも反捕鯨路線を強く強調している緑の党との間で揺れている。

 NZ訪問後、オーストラリアを訪問している安倍首相の発言は反捕国オーストラリアでも話題となるかもしれない。

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Text by NewSphere 編集部