パレスチナでの砲爆撃応酬激化―地上戦闘への移行懸念も―
パレスチナのガザ地区とイスラエル軍の間で、迫撃砲やロケット弾、航空爆撃による報復の応酬が激化している。各紙は、双方の砲爆撃ですでに子供や民間人を含むパレスチナ人少なくとも19人、およびイスラエル人3人が死亡したと報じられた。
14日、パレスチナの武装勢力「ハマス」の軍事指導者であるジャバリ参謀長がイスラエル側の空爆で死亡すると、ハマス側は報復の砲撃を強化。イスラエル最大の都市テルアビブを始め、各地にロケット弾や長距離ミサイルが着弾する事態となった。テルアビブ市内に空襲警報が鳴るのは1991年の湾岸戦争以来だという。イスラエル側はこれを無差別砲撃であると非難、テルアビブ空襲から数時間以内に70箇所・15日遅くまでに200以上のハマス側砲撃拠点を攻撃してハマスの軍事能力に「甚大な影響を与え」、また300以上のロケット弾のうち100以上を迎撃システムによって阻止したと発表した。さらにイスラエルは予備役兵3万の動員、および戦車や装甲車、歩兵部隊の南方への移動を開始しており、ガザ地区に対する地上侵攻の可能性が高まっている。
ニューヨーク・タイムズ紙は、エジプト側の検問所にも被害が発生したとの未確認情報を伝えている。今年エジプトの政権を握ったモルシ大統領は、ハマスに近い「ムスリム同胞団」の最高指導者であり、「あらゆるリソースをもって」「何としても殺害と流血を食い止めるために」、首相にパレスチナへの代表派遣を指示したという。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、代表団が居る間、イスラエルは攻撃を縮小せざるを得ないと解説している。
一方、アメリカとイギリスはイスラエルを支持し、ハマスに主な責任があるとの見解を示したと、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は伝えている。なお同紙自身もイスラエル寄りの姿勢なようであり、過去の作戦と比べて犠牲者が少なく、誤爆を減らすイスラエルの努力が国際社会からの支持に繋がっている、と評価している。
フィナンシャル・タイムズ紙は、紛争の拡大は戦局不利となった場合の威信低下を大きくするため、双方の政権にとってリスキーだと論じた。