パンツ一丁で力尽きる…泥酔サラリーマンの写真を海外が報道 “身を粉にする勤労倫理のせい”と苦言
東京のダイニングバーチェーン「八百長Bar」グループが始めた、過度な飲酒を警告するキャンペーンが海外で話題を呼んでいる。酔いつぶれて路上で眠るサラリーマンを白いテープで囲い、“nomisugi”(飲み過ぎ)のメッセージとともに、過度の飲酒を警告している。
海外メディアは、このキャンペーンをはじめ、日本のサラリーマンの泥酔ぶりを写真つきで報道。電車の床でパンツ一丁(と片方の靴下)になって眠る男性の写真など、衝撃的なものばかりだ。このような酔っ払いサラリーマンの恥ずかしい写真は、最近ではネットや雑誌で取り上げられ、ソーシャルメディアを通じ拡散しているという。
【意図せぬ飲み過ぎ】
「多分、お話しておく必要があるね、日本のオフィス・ワーカーたち。羽目を外してひっくり返るまで飲むあなた達の哲学は、行き過ぎのようです」
米ジャーナリスト、T.L.スタンレー氏は、『Mashable』の記事で、これが前述のキャンペーンのメッセージだとみている。公共の場で酔いつぶれるサラリーマンの写真を使うことで、彼らに「愛のムチ」をふるっているのだと論じる。
同氏は、週末にはスーツ姿の勤め人が「何千人も路上で寝入って」いる、と説明する。「身を粉にして働く勤労倫理」で知られる日本では、ストレスで泥酔したサラリーマン達が、意図せぬ事態を引き起こしている、と厳しい。
【昔とは違うサラリーマン像】
英テレグラフ紙は、泥酔したサラリーマンが生じる背景を次のように説明する。サラリーマンとは「同じダークスーツに身を包み、会社に忠誠を誓い、日々働きづめ」の人々だ。多くのサラリーマンは、ストレスと、上司の酒の誘いを断れないという「長く続く文化」により、飲みすぎてしまう。帰宅を試みるも、駅のホームや電車で、だらしなく力尽きることになってしまう…。
また同紙は、「サラリーマン」の変化にも着目する。かつてサラリーマンとは、日本社会の重要な構成員で、中産階級の安定と地位を示す言葉だった。しかし昨今では、長時間労働と厳しい階級制、独自性の欠如を連想させる、と批判的に報じている。
さらに、数十年に及ぶ景気の低迷で、労働構造も変化。サラリーマンの前提だった終身雇用は、もはや若い世代には手の届かない制度になりつつある、と述べている。
【外国人には狭き門】
一方、コリン・ガルシア氏は『GaijinPot』で、サラリーマンは外国人には狭き門だと指摘する。日本企業は外国人のビザを申請し、業務を与えるのは面倒と考え、一部の優れた人材にしか門戸を開かないためだ。それゆえ現地採用でサラリーマンになる外国人は稀だという。
日本の路上で寝入る酔っ払いの外国人サラリーマンを見る日は、二重の意味で、当分こないだろう。
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