JT、英電子たばこメーカー買収 “日本でも流行るのか?”米紙疑問

 日本たばこ産業株式会社(JT)は、イギリスの電子たばこメーカー・ザンデラ社の全発行済株式を取得することを発表した。ザンデラ社は、電子たばこ『E-Lites』ブランドで知られている。

【拡大する市場】
 フィナンシャル・タイムズ紙によると、すでにいくつかの大手企業が電子たばこ産業に進出しており、昨年、業界は30億ドル市場に成長したとのことである。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙(ウォール紙)によると、イギリスの電子たばこ産業は近年急速に発展している。ユーザーは、2012年の70万人が、現在は210万人に達し、3倍近く成長している。ザンデラ社は2009年に創業し、昨年は2687万ドル(約27億円)を売り上げたという。JTの寺畠正道CEOは、公式発表の中で、「今回のザンデラ社への投資は、JTグループにとって成長著しい電子たばこ領域への絶好の参入機会である」と述べている。

【曖昧な定義と規制】
 ウォール紙によると、『E-Lites』製品の日本国内での発売は未定だという。現在JTは「プルーム」という自社商品を販売しており、専用の「たばこポッド(プルームにセットして使うたばこ製品)」は「パイプたばこ」として財務省の認可を受けている。しかし、海外商品については、まだ定義が曖昧だ。

 ニコチンを含む液体を熱して蒸気を吸う「電子たばこ」は、欧米で急速に普及している。一方日本では、ニコチンは薬事法で医薬品にあたり、無許可の販売や譲渡が禁じられている。そのため一部のユーザーは、薬事法に引っかからない吸引器だけ国内で購入し、海外の業者からニコチン入り溶液を個人輸入している、と朝日新聞は伝えている。厚生労働省は、個人が一度に輸入できるニコチン溶液を、1ヶ月分の使用量(120ml程度)と示している。

 同紙によると、ニコチン入り電子たばこが、法律上のたばこかどうかについて、警察庁は「一概に言えない」との見解だ。たばこ事業をまとめる財務省は「たばこには当たらない」と見なしており、厚生労働省は「財務省がたばこに該当すると言ってくれないと動きようがない」との立ち位置であるという。

 フィナンシャル・タイムズ紙によると、世界保健機関(WHO)は、電子たばこにも従来のたばこ同様の規制を検討しているという。その場合、電子たばこにも広告規制など決めなければいけないことが山積みとなるそうだ。

【電子たばこは害が少ないのか】
 はたして電子たばこは、従来のたばこより健康被害が少ないのだろうか。

 朝日新聞によると、米ボストン大公衆衛生学部のマイケル・シーゲル教授は、電子たばこを「害が少なく禁煙の可能性も高い」と見なしており、「同じ規制をすれば逆に従来のたばこを守ることになってしまう」と語っているという。

 また『47NEWS』によると、英ロンドン大の研究チームも「電子たばこは禁煙治療薬よりも禁煙に有効」という発表をしているという。ただし、電子たばこの長期的な害は「たばこよりは少ないと思われる」としつつも、実態はまだ明らかでない、としているようだ。

JT、財務省、たばこ利権 ~日本最後の巨大利権の闇~ (松沢成文) [amazon]

Text by NewSphere 編集部