理解が足りていない「香害」 寺の参拝者から感じた柔軟剤の匂いで仏像への移香を懸念

古くより多くの日本人の心の拠り所となってきたお寺。

【画像】懸念される寺での「香害」

今でも全国各地のお寺で日常的に参拝者がやってきます。しかし近年、現代ならではの参拝問題がSNSで話題になっています。

Xユーザーのみーにゃさん(@iri9gohan)は自身のポストにてお寺の参拝における「香害」について言及し、話題を呼んでいます。

寺での「香害」

みーにゃさんはご自身とゆかりのある岐阜市のお寺、美江寺観音の信者でありながら、お寺のイベントの折には受付や案内を担当しています。

今回、みーにゃさんはお寺に祭られている仏像である十一面観世音菩薩の年に一度のご開帳に案内役として立ち会いました。

そこで参拝者から柔軟剤の匂いを感じ、仏像への移香を危惧したといいます。

「香害」とは合成洗剤や柔軟剤、化粧品類などに含まれる合成香料(化学物質)によって健康被害が引き起こされることを指します。

一般的には人体への被害が懸念されていますが、今回のように木製品や布製品への移香に悩む人もいます。

みーにゃさんによると、香りがキツイと感じる参拝者の割合は極めて少なく、今回初めてに近いそうです。

しかし、「女性の衣類柔軟剤と、ヘアシャンプーかトリートメント剤と、香水が混ざった強い臭い」だったため、すぐに換気をするといった対策を取ったといいます。

このような状況は初めてで、香りの元である個人も特定できていないため注意をすることもできませんでした。

編集部は複数の仏像修復の専門家や業者などに移香問題について問い合わせましたが、回答を得ることはできませんでした。

みーにゃさんの投稿では、「私も以前から気になっていた」「劣化が早まるのではないか」と賛同の声が寄せられています。

みーにゃさんはこれらに対し、「Xでの私の投稿に、多くの方が仏像への人工香料の移香に関心を持って下さり、有り難いと思っております。重要文化財は後世に遺す、無二の宝です。人工香料の香りは、付着させたくなかったのです」とコメントしています。

悠久の歴史を持つ文化財に化学香料が移ってしまったら……。

仏像への移香がどのような影響を及ぼすのかは、まだ一般的には知られていません。

それでももしかしたら、私達も日頃の参拝を見直す必要があるのかもしれませんね。

Text by 楊文果