G7、中国の海洋進出を牽制も、名指しはせず 中国紙は“日本への警告”と強気の姿勢
ベルギー・ブリュッセルで開催されていたG7首脳会議が、5日、クリミアを編入したロシアへの非難などを盛り込んだ首脳宣言を採択し、閉幕した。
【ロシアとの微妙なバランスを模索する日本】
最大の課題はウクライナ危機だ。今年3月、ロシアがウクライナ南部クリミア半島の編入を強行するなど、ウクライナ情勢をめぐり緊迫が高まっている。G7は首脳宣言で、ロシアがウクライナの安定回復に協力しないなら、追加制裁も検討するとした。
一方、安倍首相は会議後、「ロシアには国際社会のさまざまな課題に建設的に関与してほしい」と述べ、ロシアと良好な関係を維持したい考えも示唆した。
安倍首相はここ数ヶ月、ロシアと微妙なバランスを模索している、とロイターは報じる。日本は今回、G7のロシア制裁に同意したものの、ロシアがクリミア半島を編入する前は、外交政策の優先事項として資源豊富なロシアと良好な関係をつくってきたと指摘した。
【G7が反中国の立場をとることは不可能、と中国紙】
また、東・南シナ海で一方的な海洋進出を行う中国に対する懸念も議題に上った。G7は、これらの海域における一切の武力行使に反対し、国際法順守の重要性を宣言した。
菅義偉官房長官は5日、東・南シナ海の緊張をめぐる日本の懸念について、「G7の理解を得たのは極めて大きい」と語った。
ただ、首脳宣言は中国を特定していない、と中国の人民網は報じる。同メディアは、日本側はこれを中国への警告だと思うかもしれないが、このような慎重な声明は右寄りの日本への警告でもある、と強気の姿勢だ。
さらに、G7が統一して反中国の立場をとることは考えにくい、と同メディアは指摘。特にドイツ、フランス、イギリスは中国と重要な二国間関係を持っており、反中国の態度は自国の国益を害するだけなのを知っている、とした。
G7が本当にアジアにとってよいことをしたいなら、日本の民族主義的感情に警戒し、危険な冒険主義的政策を抑制すべきだと論じている。
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