プロ野球球団増加は、“打倒デフレの新兵器” 安倍首相の提言を海外紙が報道
安倍政権が、日本の経済を活性化させるアベノミクスの新たな手段として、球団を12から16に増加させることを提言する。果たして、その効果はあるのだろうか。海外メディアもこれを報じている。
【球団を増やすことで経済が活性化する理論とは?】
ロイターによれば、球団は地域と密着な関係があるため、その地域の経済を活性化することができると安倍総理は提言しており、米メジャーリーグが、1960年代以降、球団数を16から30に増やし、成功を収めていることにも言及している。
また、英テレグラフ紙によれば、新たな球団を作るにあたり相応しい都道府県としては、高齢化や人口減少が顕著な地域がその提言で示されており、各紙によれば、その都道府県とは、沖縄、静岡、四国、新潟である。
【経済効果には疑問の声もあがっている】
球団を増やすことで経済が活性化するという理論には、疑問の声もあがっている。ロイターには、早稲田大学スポーツ科学学術院原田宗彦教授のコメントが紹介されている。同氏によれば、新しい球団のスポンサーになりたいという企業がない限りは球団の増加は難しく、確固とした財政基盤がなければ良い選手を抜擢したり、チームの強さのバランスを保ったりすることは難しい。
一方でロイターは、近畿日本鉄道が球団のオーナー断念した時に、日本の2リーグ制は決定的な事態に晒されていたが、楽天が、仙台に東北楽天ゴールデンイーグルスが設立したことで、2リーグ制存続の助けとなった、とも報じている。
【日本人にとって、野球とは?】
ロイター、テレグラフ紙によれば、日本で野球の試合を見に行くファンは毎年2000万人以上で、その数はJリーグ・J1の試合を見に行く人の4倍であるという。
テレグラフ紙は、スポーツは日本人の精神にとって重要な役割を果たしてきており、2020年に東京オリンピックが開催されることにより、スポーツイベントへの国民の情熱はさらに熱くなっている、と報じている。
【日本の野球ファンはどのように反応?】
球団を増やすという提言について、日本の野球ファンはどのように反応しているのだろうか。Yahooニュースに寄せられたコメントを見ると、反応は様々であるが、球団を増やすというアイデア自体は面白いと感じても、経営が上手くいくのかという疑問を持つ人が相当数いるようである。一方で、球団を増やすという案自体に反対をしている人もいた。以下、多数のコメントの一部である。
「確かにアイデアは面白いが、運営する企業が出るのかが謎。チーム数増やしてメジャーみたいなマイナーリーグ作っても独立リーグでさえ集客に苦戦するなかで独立採算が成立するとは思えないな」
「面白そうだが…難しそう、色々と!」
「素晴らしい考え。新潟や四国にプロ野球球団が出来たら盛り上がるだろうね。ただ、金がある球団が強くなるシステムは変えなければならない。それを変えなければ盛り上がらない」
「今でも潰れそうな球団がたくさんあるのに(大笑)」
「反対。Jリーグみたいに潰れるチームが必ずでる」
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