外国人が多く住んでいるイメージのある東京の湾岸タワマン 実際は4% 

画像はイメージ(Flicker/ Dick Thomas Johnson

東京の湾岸エリアに立ち並ぶタワーマンションを見ると、その高級感から海外からの富裕層や投資家が多数購入しているのではないかと思われがちです。

【画像】湾岸タワマン住民の実態

確かに、世界に開かれた東京の一等地である湾岸エリアは、中国や台湾、シンガポールなどのアジア諸国をはじめ、世界中から資産家や実業家の注目を集めています。

しかしマンションリサーチ株式会社が行った調査によれば、イメージとは異なる実態が明らかになりました。

東京の湾岸タワマンの住民の実態

同社は2023年3月から2024年4月までの1年間に、湾岸エリアのタワーマンションで所有権移転があった物件100件を選び、登記簿謄本から購入者の詳細を調査。

その結果、外国人による購入者比率は、わずか4%にすぎませんでした。

一方で、日本人の裕福な既婚夫婦、つまり「パワーカップル」による共同購入が約30%と最も多い購入層となっていたのです。

パワーカップルが選ぶ間取りを見ると、約9割が2LDK以上の広めの間取りだったことが分かりました。

同調査におけるパワーカップルの平均購入額は約8000万円と高額で、借り入れの割合も高く6割がフルローンかオーバーローンを利用しています。

これらの数字から、パワーカップル層は十分な収入と資産を持ち、子育てに適した広い間取りのマンションを選好していることがわかりました。

一方で外国人購入者についてみると、その出身地はいずれもアジア諸国である中国、台湾、シンガポールなどに限られていました。

つまり、欧米からの投資は少ないということでしょう。

アジア圏内での資産運用が中心となっている可能性がありそうです。

ただし、この調査は直近1年間の所有権移転データのみを対象にしているため、それ以前の時期に遡れば、海外からの投資比率が変わってくる可能性は否めません。

バブル期の1980年代後半〜1990年代初頭には、確かに欧米からの大口投資もあったはずです。

時代によって投資の中心がシフトする可能性は十分にあり得るでしょう。

マンションリサーチ社は、今後もさまざまな角度から実態調査を続けていく考えだそうです。

豊富なデータを駆使して、都心部の不動産状況の変化を追い続けるとしています。

日本を代表する一等地である湾岸エリアの実態が、さらなる調査でより鮮明に浮かび上がってくるかもしれません。

Text by 菅山久志