訪日外国人が殺到した「富士山ローソン」 ミニチュアサイズで「茶化す解決法を考えた」
先日、黒幕がかけられてしまったことで話題になったローソン河口湖駅前店の歩道。
ここは遠近法によってローソンの上に富士山が載ってるように見えると人気の写真スポットでしたが、観光客によるゴミのポイ捨てや私有地の立ち入りなどの「オーバーツーリズム」問題が発生していました。
そこで河口湖町は2024年5月21日、ローソンから富士山が見えなくなるよう黒幕を張ったのです。このような思い切った市の対応にSNSでは賛否両論が上がっていますが、そこに目を付けたアーティストの作品も注目を集めています。
アーティストがミニフィギュアのローソンを制作
持ち運びできるローソンのミニフィギュアを作ったのは、アーティストのふじわらかつひと(@f2touhey)さん。
本物そっくりのミニローソンがあれば、特定の場所以外でも富士山が載るように写真を撮れるという画期的なアイディアです。お好みで看板を光らせることもできます。
ふじわらさんは現代美術二等兵というアートユニットを20年以上続けており、「駄美術」というコンセプトでゆるい作品を創っています。
京都市立芸術大学の彫刻専攻を卒業後、社会人として働く傍らで現代美術をおもしろいと感じられずにいたふじわらさん。
元同級生らと自分がおもしろいと感じる作品を制作し、ギャラリーで展示するようになりました。
その中で「こんなものは美術じゃない!」と怒られることが度々あったため、駄菓子のような存在の「駄美術」だと宣言したといいます。
この持ち運びローソンを制作したきっかけは、オーバーツーリズムの問題や黒い幕で覆うという ニュースを見てモヤモヤしたことだとふじわらさんは語ります。
「そもそもなんでそんな写真が撮りたいのかもわかりませんでしたので、ちょっと茶化した解決法を考えました。社会問題に積極的に取り組んでいるわけではありませんが、みんなが「知っている」ことが元ネタとして重要なので、話題になったものはパロディの元ネタとして使いやすいです」
今回の作品は市販の鉄道模型用の建物の改造によって造られたそうです。
ローソン河口湖駅前店に形状が近い「セブンイレブン」の模型が元になっているといます。
ドアに貼られている垂れ幕やポスターは近所のローソンを参考にしたといいます。
さらに、そのままだと暗いため店内と看板を照らすLEDも取り付けました。
ふじわらさんは自身の作品が鑑賞者に与える影響について、「みんな日々大変なことや辛いこともありますが、駄美術を見て、ああこんな大人もいるんだなあと、ほっと一息ついてくれれば幸いです」とコメントしています。
日常の小さなわだかまりをくすっと笑えるアイディアで癒してくれる「駄美術」。
疲れた時に少し足を止めて、覗いてみてはいかがでしょうか。