「デリカが帰ってくる?」沸き立つ米メディア “カルト的人気”バンがPHEVで再上陸か
三菱自動車の北米部門は16日、5ヶ年事業計画「モメンタム2030」を発表した。ラインナップを現行のほぼ倍に当たる7台に拡充するとしている。うち、ティザー映像に映る1台が、オフロード・バンの「デリカ」の可能性があると米メディアに報じられている。不格好ながら根強い人気を誇るバンが電気自動車(EV)で北米に帰ってくるとして、現地では興奮が高まっている。
◆米でカルト的人気のデリカ
米ドライブ誌(5月16日)は、デリカはアメリカで数十年前から個人輸入されるようになり、そのコンパクトなデザインとオフロード走行性能から「カルト的な人気を博した」と振り返る。記事は、デリカがカナダやメキシコ限定にならないことを願うばかりだ、とも加え、アメリカでの発売を待ち望む内容となっている。
昨年10月に開催された「ジャパンモビリティショー2023」では、6人乗りプラグイン・ハイブリッドのバン「D:Xコンセプト」が発表されている。米ジャロプニク誌は、このD:Xコンセプトをベースにした新型デリカが登場するのではないかとみる。D:Xコンセプトについて三菱は、キャビン空間の広さおよび安全性と、オフロード性能の最大化を両立する方針を示していた。
◆2026年から順次登場
モメンタム2030は、現在から2年後の2026年から2030年にかけて、新型車またはモデルチェンジした車を毎年発表する計画となっている。ドライブ誌は、三菱は北米市場での復活を目指しており、モメンタム2030がその一翼を担うと指摘する。新型デリカのほか、オフロードSUVなどが製品計画に含まれている。
なかでもデリカは、大幅な刷新となる可能性がある。米モーター・トレンド誌(5月16日)によると、新型デリカのディザーには、狭い道での車幅の把握に有利なマーク投影ライトや、前方の景色をダッシュボード全体に映し出し擬似的な「シースルー」を実現する巨大スクリーンなど、斬新なコンセプトが盛り込まれている。「おそらく製品版には盛り込まれないだろう」と同誌はいうが、ずんぐりむっくりとした愛らしいボディで親しまれた従来型のデリカと比べ、未来的なイメージを指向している模様だ。
◆匿名の情報筋が認めた
ジャロプニク誌は、デリカは「アメリカで最もクールな三菱のバン」だったと振り返る。JDM(日本市場)モデルを輸入し乗っている愛好家もいるが、バンの登録を果たして当局が認めるか、近年では危ぶまれているようだ。そんななか、米オートモーティブ・ニュースによると、新型デリカは2020年代終盤に登場する予定だと、社内会議の内容を把握している匿名のディーラーが認めたという。
モータートレンド誌は、デリカがPHEVバンとしてアメリカ進出することは十分に可能であるとみる。現在、同じアライアンスの日産から、ローグをベースにしたアウトランダーが出ており、アメリカ当局公認のPHEVシステムをすでに搭載している。20kWhの大型バッテリーを備え、EV走行可能距離は38マイル(約61キロ)だ。このパワートレインをデリカに搭載すれば、同国の安全基準を満たす新型デリカのボディが実現可能となる、と同誌は論じる。
オーバーランディング(大自然の探索)に最適なAWDバンになるとして、期待と興奮が高まっているようだ。