日本の少子高齢化、記録的な規模で進む 「他山の石とすべし」と海外紙が注目
日本の人口が3年連続で減少して約1億2730万人となり、老齢人口の割合が過去最高となった。世界で最も深刻と言われる少子高齢化を裏付ける数字に、海外メディアも強い関心を寄せている。
【大規模な人口減と少子高齢化に政府も強い懸念】
総務書が15日に発表した人口推計によると、昨年10日1日現在の総人口は1億2729万8000人で、前年よりも21万7000人減った。
また、いわゆる「団塊の世代」が65歳以上に達したことなどから、15歳から64歳の「生産年齢人口」が大幅に減り、7901万人と32年ぶりに8000万人を下回った。逆に、65歳以上の人口は3189万8000人で前年比110万5000人増。総人口に占める割合が4人に1人に相当する25.1%となった。
一方、14歳以下の「年少人口」は1639万人で、前年比15万7000人減と過去最少を記録した。総人口に占める割合は12.9%で、75歳以上の12.3%とほぼ並んだ。
菅義偉官房長官は、これらの数字について、「出生率の低下と高齢化がより深刻になっている。人口減少の規模は非常に大きい」(16日付ブルームバーグ)などと、記者団の前で懸念を示した。
【解決策に「移民」を有力視】
「日本政府は、メディアが取りざたする大規模な移民の受け入れを特に否定していない」(エコノミスト誌)、「安倍首相は移民の制限を緩めることを決めた」(ブルームバーグ)と、海外メディアも国内メディアの報道を引用しつつ、解決策のキーワードに「移民」を挙げる。
エコノミスト誌は3月25日付のブログ記事で、年間20万人の移民を受け入れれば、人口を1億人程度に維持できるという安倍首相の諮問機関の試算を紹介している。ただし、それに加えて出生率を現在の1.39から2.07に上げるのが条件で、「その規模の変化を実現するには、社会構造全体の手直しが必要だ」と指摘する。国連の試算では、出生率が上がらなければ日本が人口維持に必要とする移民は年間65万人だという。
また、菅官房長官は記者団に対し、「こうした状況では、女性が輝ける社会を作ることが急務だ」とも述べた(ブルームバーグ)。エコノミスト誌は、政府は「婚活中の日本人への経済的な支援」すら検討していると報じる。
【英紙「日本は世界一高齢な人口とジンバブエ並の借金を併せ持つ」】
英紙・ガーディアンは、同様に少子高齢化が進む英国の現状について論じた3月27日の記事で、日本を「世界一高齢な人口とジンバブエ並の借金を併せ持つ国」とシニカルに表現する。
同紙は、「高齢化とともに財源が減るというねじれ現象に、多くの国が直面している」として、日本の動向を他山の石として参考にすべきだと論じる。そして、日本の介護保険制度を「思い切った策」であり、一定の成果を上げていると評価している。しかし、予想を上回る少子高齢化により、財源の確保が難しくなりつつあるとも指摘。崩壊しつつある自国の社会保障制度と併せて、その行く末を心配している。