「テキサス新幹線」計画、日米両政府が支持 バイデン政権が積極姿勢 ダラス-ヒューストン間90分

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 日本の新幹線技術を使って米テキサス州に高速鉄道を建設する計画に、前進が見られるかもしれない。現地時間4月10日の日米会談後にバイデン大統領と岸田首相の間で協議される可能性があると、ロイター通信が報じた。

◆新幹線技術を採用、ダラス-ヒューストン間の移動時間を半減
 ロイター(4月10日)によるとこのプロジェクトは、テキサス・セントラル・パートナーズと全米鉄道旅客公社(アムトラック)によって建設・運営される予定だ。テキサス州ダラスとヒューストン間を全長380キロの鉄路で結ぶ。現在、車での移動時間は約3時間半を要するが、高速鉄道が完成すれば半分の約90分に短縮される見込みだ。

 高速鉄道は、2都市間の所要時間を半減する唯一の手段と目されている。アムトラックの高速鉄道プログラムでシニアバイスプレジデントを務めるアンディ・バイフォード氏は米CNBC(3月11日)に、「車では不可能です。空港に行き、セキュリティチェックを受け、反対側の空港から出ることを考慮すれば、飛行機でも不可能なのです」と述べ、高速鉄道の優位を強調した。

◆実現への道のりと課題
 ロイターは複数の情報筋の話として、「ダラスとヒューストンを結ぶプロジェクトが(日米首脳)会談の議題になるだろう」「会談後の共同声明で言及される可能性が高い」と事前に報じていた。米ホワイトハウスは会談後、「米運輸省と日本の国土交通省は、新幹線技術を活用したテキサスセントラル高速鉄道プロジェクトをアムトラックが主導することを歓迎した」と記したファクトシートを発表した。

 米NBCによると、アムトラックは計画を着々と前進させている。昨年12月、すでに米鉄道管理局のコリドーID(回廊選定開発補助金)プログラムに計画を提出し、現在サービス開発計画(SDP)の作成に取り組んでいる。コリドーIDから準備資金として50万ドル(約7700万円)が支給された。SDPが完成し次第、最終設計や建設計画、環境レビューなど許認可を取得する方針だ。

◆バイデン政権は積極姿勢
 CNBCは、「旅客鉄道に歴史的な660億ドルをコミットしたバイデン政権下のアメリカ政府は、高速鉄道システムの建設について、何世代にもわたる最善の策を講じているようだ」と評価する。

 一方で記事は、予算の懸念がつきまとうとも指摘する。カリフォルニア州のロサンゼルスとサンフランシスコを結ぶプロジェクトでは、見積もりが当初の330億ドルから1000億ドル以上に急騰した。土地所有者からも大きな反発が出ており、テキサス州でも同様の反対が予想される。

 それでもバイデン政権のピート・ブティジェッジ運輸長官は、計画に肯定的な発言をしている。今週初め、米テキサス州のテレビ番組「ローン・スター・ポリティクス」で、高速鉄道は新たなビジョンであり「巨大な可能性」を秘めていると語った。

 テキサス州に日本のN700系が走る日は来るだろうか。

Text by 青葉やまと