中国新指導部のかじ取りに注目

中国 10年に1度の権力移譲が行われる共産党大会を前に、中国に世界中の注目が集まり、期待、思惑、推測が駆け巡っている。大規模な交代が行われる新指導部は、国をどう動かし、世界にどう対峙するのか。
 なお、新指導部については、習近平国家副主席と李 克強副首相の選出は確実。重慶市の書記を兼任する張徳江副首相、金融などを担当する王岐山副首相、天津市の張高麗氏、党中央宣伝部の劉雲山氏はほぼ安全圏内。一方、つい最近まで有力視されていたものの、どちらか、あるいはいずれも指導部入りを危ぶまれているのが上海市の俞正声氏と党中央組織部の李源潮氏だ。太子党に象徴される、権力の集中・世襲化への世間の風当たりを受けると同時に、今春の薄氏のスキャンダルに象徴される「党指導部の結束の弱化」を防いだり、江沢民氏の下で権力が膨れ上がった公安局の力をそいだりの目的があるとされる。

Financial Timesの報道姿勢―中国新指導部が直面する課題―
 習氏を頂点とする中国新指導部が直面するかつてない大きな課題を、米国が抱えている「財政の崖」という経済不安になぞらえた。識者によれば、共通点は「過去の施策が大きな変化を必要としており、失敗すれば大きな経済的な危険に直面する」点だという。
 中国の経済面での課題は輸出主導型から内需拡大への移行、政治面の課題はより開放路線を歩めるかなどで、10年前の指導部交代時期から見えてきたものだ。しかし、前回よりも今回の「改革」への世界の期待感は薄い。中国の政治システムは「特権」がひしめきあって難局を打破できないと思われているためだ。事業を独占してきた国有企業は急成長し、「フランケンシュタイン」に成り下がった。
 急速に変化する中国社会で、2,3年内には改革への具体策を求める機運が高まり、次期指導者の習氏が相当の圧力と困難にさらされると予測している。注目すべきは、そのとき、新指導部が「新しい」対外姿勢を見せられるかだろうと指摘した。
 ただ、いずれにしても、国内に指導力や信頼性を誇示しなければならない新政府の外交政策が強硬化するのは必至。日本との尖閣諸島問題がさらに長引けば「そのとき」が早まる懸念もある、と報道した。

International Herald Tribune の報道姿勢―中国の指導部縮小?! 機動力の拡大なるか、権力の集中に終わるのか―
 共産党大会を目前にして、最高指導部の人数を現在の9人から7人に縮小する動きが見えていることを取り上げた。2002年の党大会直前、7人から引き上げられた人数を元通りにしようとするものだ。
 中国では、最高指導部のメンバーのそれぞれが、派閥を持ち「得意分野」を持つ。国有企業とのパイプも強く、多くの利権を握っている。そのため、「席」を堅持せざるを得ない。「引退組」も自分の威光を残すのに懸命だ。
 過去10年、習氏を含めて、江沢民派の後継者が指導部の多くを占めるなかで、胡氏が思い切った政策を打ち出せないことに不満が募っていた。中国が、大きな経済成長を遂げながらも、経済強化や政治システムの再構築の機会を逸したと考える識者も多い。習氏には、胡氏の下でかき消された「開放」への期待が寄せられている。
 指導部が、縮小によって機動力を増すことができるか。縮小に失敗し、権力の集中という結果を生むのか。それが注目される、とした。

Text by NewSphere 編集部